2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域産業の競争優位を構築するデザイン戦略のあり方に関する研究
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22730329
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長谷川 光一 九州大学, 科学技術イノベーション政策教育研究センター, 助教 (30426655)
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Keywords | デザインマネジメント / 製品開発マネジメント / デザイン戦略 |
Research Abstract |
近年、競争優位の新たな源泉と考えられているデザインマネジメントに関して、日本企業におけるデザイン活動の全体像やデザイン戦略、組織構造の特徴が明らかになってきた。一方で、デザインマネジメントに関する新たな課題が明らかになりつつある。そのひとつが地域産業における問題である。地域産業は市場の縮小など厳しい環境におかれているが、一部の企業や産業では、デザインの活用によって競争力を構築する企業・地域が見られている。地域産業の競争力に結びつくデザインマネジメントはどのような特徴を有するか、デザインが有効に機能する場合とそうでない場合の差はどのような条件でもたらされるか。デザインを有効たらしめる補完的要素は何か、デザインを重視する製品開発マネジメントはどのようなプロセスで企業に組み込まれるか、産業構造や製品の特徴に応じたデザインマネジメントのベストプラクティスは何かなどは、デザインを新たな競争優位の源泉として有効活用するために明らかにすべき課題である。 地域におけるデザインの活用状況に関する調査に先立ち、デザインの機能や役割を明らかにするために企業を対象として行った調査においてデザインに関するデータを取得し、予備的な分析を行った結果、次のことを明らかにした。まず、デザイン活動はプロダクトイノベーションを促進する機能があり、マネジメントの方法によってはデザインがプロダクトイノベーションを促進する企業の割合が3割に達すること、企業が実施したイノベーションから利益を得るための方法としてデザインは十分に活用されていないが、有効性は高いこと、製品開発プロセスにおいてデザイン部門はそれほど関与していないことなどである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
製品開発活動におけるデザインの機能と役割に関する研究はこれまで十分な知見があったとは言えない。例えば、企業内にあってどのような機能をデザイン活動が有するかといった基礎的な知見すら不十分な状況にある。このような中にあって、デザイン活動に関するデータを取得し、製品開発活動におけるデザインの役割を、定量的な側面から明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
企業を対象とした平成23年度の研究結果等をもとに、平成24年度に、地域産業・自治体を対象としたデザイン活動に関する質問票を設計し、調査を実施、データを取得、分析を行う。
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