2010 Fiscal Year Annual Research Report
個人の交通手段選択行動と世帯の自動車保有行動の変遷に関する中長期的分析
Project/Area Number |
22730334
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三古 展弘 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 准教授 (00403220)
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Keywords | 消費者行動 / 交通行動 / 交通手段選択 / 自動車保有 |
Research Abstract |
本年度は以下の3つの研究を行った.1つ目に,中京都市圏において1981年と2001年のデータを用いて構築した自動車・二輪車保有モデルを1990年代後半に得られたバンコクとクアラルンプールのデータに適用した.中京圏における分析からモータリゼーションの進展に伴う保有行動の変遷を捉えることができ,年齢や性別による保有行動の差がなくなっていることが明らかになった.また,途上国の1990年代後半の保有行動は,中京圏の2001年のモデルよりも1981年のモデルによってより適切に表現されることが明らかになった.また,バンコク(クアラルンプール)のデータでもモデルを構築しクアラルンプール(バンコク)のデータに適用したところ,中京圏の1981年のモデルよりも適切に保有行動を表現できた.2つ目に,1971年のデータで構築された分担率曲線モデルと非集計ロジットモデルという2つの交通手段分担段階のモデルを,1991年に新規に開業された交通システムの分担段階に適用した.この結果,非集計ロジットモデルのほうが現実の分担率の表現において優れていることが明らかになった.また,この交通システムの計画において実際に行われた需要予測の各段階における誤差要因についても検討を行い,交通手段分担段階で最も大きな誤差が生じていることが明らかになった.3つ目に,RPの属性値を変化させてSPの属性値を設定するSP調査の場合,どの程度の変化がRP/SPモデルの推定において適切か,を誤差項に着目して分析した.この結果,SPの誤差分散がRPの誤差分散に比べて大きい場合には変化量を大きくしたほうがよい,RPモデルとSPモデルの誤差項が両モデルに共通する項と互いに独立な項の和で表現されるという一般化された誤差項の仮定に基づくモデルでは変化量がない場合の近傍が最適,という知見が得られた.
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