2011 Fiscal Year Annual Research Report
個人の交通手段選択行動と世帯の自動車保有行動の変遷に関する中長期的分析
Project/Area Number |
22730334
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三古 展弘 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 准教授 (00403220)
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Keywords | 消費者行動 / 交通行動 / 交通手段選択 / 自動車保有 / 需要予測 |
Research Abstract |
本年度は以下の4つの研究を行った.1つ目に,中京都市圏の1971年,1981年,1991年の3時点のデータを用いて2001年の交通手段選択行動を予測するという問題を取り扱った.複数時点のデータが利用可能でも,従来の予測では直近の1991年のデータのみが用いられてきた.本研究では3時点のデータを同時に用い,パラメータを時間の関数として表現することで,予測精度が向上するという新しい知見が得られた.予測において過去のデータを効率的に利用する可能性を示したという点で大きな意義がある.2つ目に,1990年代後半のバンコクおよびクアラルンプールの自動車・二輪車保有行動を予測するという問題を取り扱った.モデルは名古屋の1981年と2001年のデータで構築していたが,1991年のデータを用いたモデルも新たに構築した.また,モデルの説明変数も追加した.その結果,1990年代後半の途上国の保有行動は,名古屋の1981年のモデルによって最もよく予測され,続いて1991年,2001年のモデルという順であることが示された.3つ目に,分担率曲線モデルと非集計ロジットモデルによる需要予測精度は後者のほうが高いという研究成果が昨年度までに得られていたが,その原因について考察した.その結果,非集計ロジットモデルでも分担率曲線と同じ説明変数を用いた場合には予測精度の向上は見込めないことが分かり,適切な説明変数を組み込むことの重要性が示された.4つ目に,RPの属性値を変化させてSPの属性値を設定するSP調査の場合,どの程度の変化がRP/SPモデルの推定において適切か,という問題を取り扱った.具体的には,プレ調査のデータを用いて適切な誤差項の仮定に従ってシミュレーション行うことにより,適切な変化の範囲を定める方法を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の分析で,複数時点の断面データを用いることができる場合の将来予測は,直近のデータだけではなく,過去の複数時点のデータを用いたほうがよいという知見が得られた.これは,本研究の大きなリサーチクエスチョンの答えとなるものであり,進捗程度は当初計画と大きなずれはない.
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Strategy for Future Research Activity |
予測に複数時点のデータを用いるという考え方は,今後の交通需要予測の研究発展に大きく寄与する可能性のある重要なテーマであるということが分かったので,この分析を深めていく.当初は他の地域のデータも用いて分析を行うことも考えていたが,1つの地域のデータで分析を深めることを検討している.
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