2010 Fiscal Year Annual Research Report
サプライチェーンにおける需給調整過程の統合的マネジメントに関する研究
Project/Area Number |
22730335
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤田 健 山口大学, 経済学部, 准教授 (50311816)
|
Keywords | サプライチェーン / 需給調整過程 / マネジメント |
Research Abstract |
本年度は研究初年度にあたるため、申請時に提示した分析枠組みの再検討と事例研究を通した妥当性の検証を行った。第1の分析枠組みの再検討については、SCMにおける部門間統合に関する既存研究をサーベイし、複数の部門から見た需給調整過程の統合的マネジメントを確認するとともに、わが国で実施された実証研究結果を丹念に読み解く作業を行った。その結果、本研究計画の申請時に想定していたようなSCM部門による統合的マネジメントだけが企業にとっての最適解ではなく、申請時の分析枠組みでは多様な主体によるマネジメントを捉え切れないことが明らかになった。そのため、申請時の分析枠組みを大幅に改訂し、需給調整過程の統合的マネジメントを実施しようとする企業において、組織ごとの行動の違いがどのようなマネジメントの差を生み出すかを明らかにすることを分析枠組みとして再設定した。 第2の事例研究では、申請時の分析枠組みと本年度の研究で調整した分析枠組みのいずれが高い現実的妥当性を持つかについて検討した。企業の需給調整担当者や物流コンサルタントへのインタビュー、および公表資料を用いた事例分析を通して、需給調整過程の統合的マネジメントの把握には、複数のマネジメント主体の行動とコミュニケーションに着目した実証研究が不可欠であることを確認できた。 本年度は申請時の分析枠組みを再検討し、理論的・現実的に妥当な枠組みの再構築に注力したことから、申請時に想定していたような成果は残せなかった。しかしながら、今年度の再検討にもとづいて経験的なアンケート調査の枠組みを構築でき、次年度の研究につなげることができた。
|