2011 Fiscal Year Annual Research Report
乗合バス事業における規制緩和の影響と経営制度に関する研究
Project/Area Number |
22730336
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大井 尚司 大分大学, 経済学部, 准教授 (00455479)
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Keywords | 乗合バス / 経営形態 / 事業運営規模 / 費用効率性 |
Research Abstract |
1研究の具体的内容 本年度は、以下の研究内容を遂行した。 (1)乗合バス事業の経営形態への提言を行うための実証的な研究 日本交通学会にて、乗合バス事業の経営規模の分析に関する研究の第一段階の分析結果(経営規模の記述統計的分析、経営における規模の経済性の存在の検証、資本規模が最適か否か)を発表した。これには、昨年度も実施したマクロ的な分析(計量分析)の手法およびデータを援用している。 (2)経営形態の検証のための事例選定、データ収集 民間のバス事業者のデータが入手しにくい環境のため、それを得るためのヒアリングを行い、データを入手した。具体的には、乗合バス事業の個別事業者のデータが開示されている資料の複写・データベース化、乗合バス原価算定のための費用・需要等のブロック別データを入手し、計量分析できるようにデータベース化している。また、九州運輸局より地方のコミュニティバスに関する調査結果の生データを入手している。 2研究の意義 経営形態を議論する上で、その最適規模の検証は欠かせないものであり、経済学的に検証しようと思えば、そのデータ入手と経済学・統計的分析は必須であると考える。しかし、日本の研究では、データの入手制約からそれがなかなか進んでいるとは言えなかった。この点について、決して完全なものではなかったにせよ、研究成果を発表したことは大きな意義があると考える。 また、民営乗合バス事業者のデータを、分析に使用できるデータベース化することができたことは、今後の研究の進展でも有益であるとともに、次の研究等での発展が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、24年度においてアンケート調査を実施するため、その事例選定も含めて「個別事象における規制緩和の効果の検証」を行う予定であったが、この部分の調査が遅れているため、(3)と評価した。具体的には以下の理由による。 (1)学内業務の著しい増加と、分担執筆の著書の刊行が複数入り、調査のための出張時間がとれなかったこと (2)本年度実施した計量分析のためのデータ集計に想外に時間を要したこと (3)国の制度変更に係る行政の業務に携わる機会が増加し、研究の方向性の修正が必要になったこと
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度実施予定のアンケート調査については、国の制度変更への対応で事業者が対応できるかどうかがカギになるため、場合によっては次の科研費申請での継続を視野に、きちんとしたデータが得られる研究の遂行に尽力したい。 また、次年度25年度に予定している海外での学会発表では、より焦点を絞った研究成果の発表が求められるため、場合によっては現在集めたデータベースによる定量分析に注力し、アンケートと実態調査の成果は次の申請時への継続課題として提出することも考えている。 本年度下半期から、土木系の研究者との共同研究で同様の研究を進めるインセンティブおよび資金確保の計画が進みつつあり、その内容と本科研費の内容が重複するため、今後は若干進度が早まる可能性がある。
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