2012 Fiscal Year Annual Research Report
乗合バス事業における規制緩和の影響と経営制度に関する研究
Project/Area Number |
22730336
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大井 尚司 大分大学, 経済学部, 准教授 (00455479)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 経営規模 / 経営効率性 / 規模の経済性 / 乗合バス |
Research Abstract |
平成24年度経費においては、乗合バス事業の経営効率性に関する実証分析の実施、経営実態を把握するための事業者ヒアリングを継続して実施したほか、平成25年度事業で予定しているアンケート調査の準備と国際学会発表の準備を行った。 乗合バス事業の経営効率性の分析については、バス事業の経営規模と経営効率性の比較を計量経済学の手法で分析し、日本交通学会での学会発表を経て同学会の査読付き論文が『交通学研究』に掲載された。また、査読なしであるが、乗合バス事業の経営実態に関する小論を土木計画学研究発表会で発表したほか、交通計画系の研究者との共同研究会にて発表を行った。共同研究会や学会出張時に合わせて、経営実態把握のための事業者ヒアリングを継続しており、同年度は沖縄、九州内、北海道の事業者を中心に訪問している。 平成25年度事業で予定している国際学会発表の準備としては、発表の申し込みに際してこれまでの研究成果を再度精査し、交通経済学視点からのデータ分析の論文を英語で書き改めたものを世界交通学会での発表にエントリーしたほか、交通事業の実態について定性的に整理したものを英語で書き改めてアジア交通学会での発表にエントリーする作業を行った。これらはどちらも発表が受理され、学会発表に至っている。 最後に、乗合バス事業の規制緩和に対する交通事業者の意識を把握するためのアンケート調査についてであるが、これは平成24年度中に実施する予定で調査項目を日本バス協会や国土交通省と調整を行ってきた。しかし、国土交通省および日本バス協会との調整に時間を要し、同年度中に実施することが困難になったため、平成25年度に継続して実施することになった。 アンケート調査の実施ができなかったという課題は残されたが、乗合バス事業の規模と経営効率性の関係に関するデータ分析とその研究成果は一定程度の評価を得ており、研究の意義は十分にあったと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年度中に予定していた、乗合バス事業者に対する規制緩和への意識調査(アンケート調査)についての作業が遅れたことにより、当初予定していた当該年度中での調査票配布・回収および分析を次年度以降に繰り越さざるを得なくなったことが理由である。 具体的には、当初日本バス協会及び国土交通省の理解がスムーズに得られるとの前提で調査準備を進めてきたが、国土交通省の協力を得る段階で担当部署および担当者の変更や、回付方法についての調整に大幅に時間を要したことがあげられる。また、調整自体は最終的にできたものの、調査対象の事業者の事情を考慮した結果、当該年度中に配布したとしても回答することが困難であり、次年度以降に繰り越したほうが望ましいとの見解になったため、配布自体を当該年度内は見送ったこともあげられる。 今年度の繰り越しについては、事前の計画段階では不可避だった事情とはいえ、研究の全体計画を考えた際には、最終年度である次年度に繰り越すことは研究上大きくスケジュール管理の変更を余儀なくされるものであったため、自己評価としては「遅れている」という評価をせざるを得ないと考え、上記の区分を選択した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、本研究の最終年度であるため、当初より目標としていた国際学会での成果発表に最大限の力を注ぐべく、発表準備に徹底したいと考えている。すでに2つの学会に申し込みが済んでおり、受理された時点で発表準備を進める予定である。 また、平成24年度に実施できなかった乗合バス事業者へのアンケート調査について、引き続き関係省庁及び日本バス協会と協議を進め、調査票の内容や調査時期、協力関係について調整を行い、平成25年度には調査を実施したいと考えている。 平成25年度は国際学会の発表を最優先課題として取り組むため、国内学会の発表は基本的に行わない方向であるが、機会が得られる限りは国内研究会や学会発表にもチャレンジするとともに、交通事業者の現地調査(ヒアリング)も継続していく予定である。
|
Research Products
(8 results)