2010 Fiscal Year Annual Research Report
中心市街地における近隣型商店街の活性化:サンフランシスコ市の事例研究
Project/Area Number |
22730339
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Research Institution | Keiai University |
Principal Investigator |
畢 滔滔 敬愛大学, 経済学部, 准教授 (70331585)
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Keywords | 商学 / 近隣型商店街 / 商店街活性化 / 中心市街地再生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中心市街地における近隣型商店街の活性化メカニズムを明らかにすることにある。具体的には、アメリカのサンフランシスコ市に注目し、同市中心市街地を構成する5つの区すべてにおける代表的な近隣型商店街の再活性化に関する事例研究を行うことで、商店街の活性化プロセスを促進した主要な組織とその役割を明らかにすることを計画した。平成22年度は、5区のうちの3区について、代表的な商店街の事例研究を行った。(a)第5区のヘイト・アシュベリー(Haight Ashbury)、(b)第8区のカストロ(the Castro)、および(c)第9区のミッション(Mission)地域の3事例である。 調査を通じて得られた結果は3点にまとめることができる。第1に、広域型商店街と異なり、近隣型商店街の場合、商店街の経営状況が近隣住宅地の変遷に左右される。それが故に、再活性化させるためには商店街のみならず地区全体の再生を図ることが不可欠である。第2に、衰退した近隣型商店街が再生するには、革新的な商人たちが商店街に進出し、従来と異なる店舗を構えることが不可欠である。商店街の高い不動産価格は新しい商人の参入を大きく阻害する。第3に、公的事業は呼び水の役割しか果たすことができない。地区の再生には、不動産所有者の投資と、彼らと彼らのコミュニティ組織の環境改善の努力が必要である。 これらの知見は、アメリカだけではなく、日本の中心市街地近隣型商店街の再活性化にも重要な示唆を示したと考えられる。日本においては、中心市街地の割高な家賃と、一部の空き店舗所有者の低い賃貸・売却意欲は、近隣型商店街の再生を阻害する大きな要因となっている。また、商店街の再生において公的支援に対する過度の期待が商店主たちの間で抱かれている。これらの問題を解決する上で、サンフランシスコ市の再生事例から学ぶべきポイントは少なくないと思われる。
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Research Products
(2 results)