2011 Fiscal Year Annual Research Report
中心市街地における近隣型商店街の活性化:サンフランシスコ市の事例研究
Project/Area Number |
22730339
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Research Institution | Keiai University |
Principal Investigator |
畢 滔滔 敬愛大学, 経済学部, 教授 (70331585)
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Keywords | 商学 / 商店街活性化 / 中心市街地再生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中心市街地における近隣型商店街の活性化メカニズムを明らかにすることである。具体的には、活気あふれる近隣型商店街が中心市街地に数多く存在しているアメリカのサンフランシスコ市について、同市の代表的な近隣型商店街に関する事例研究を行った。二次データの収集と分析に加えて、元サンフランシスコ市市長Art Agnos氏を始め、サンフランシスコ都市計画局の職員、商店街のプロパティ・オーナー、商店主、市民活動家、サンフランシスコ州立大学の研究者など計15名の関係者に対するインタビュー調査を行った。事例研究を通じて、商店街の活性化プロセスおよび、活性化を促進した主要な組織について、次の2点を明らかにした。 第1に、調査した近隣型商店街の再生では、類似したプロセスが観察された。まず、住宅街と近隣商店街の衰退により不動産価格が低下したため、安価な都市部住宅を求める人々が地区に引きつけられた。すると、こうした老朽住宅を購入した住民たちは、個人の資源を利用して住宅を修繕して、コミュニティ組織を通じて環境の改善と地区の宣伝に努めた。その結果、住宅街の環境改善と新しいタイプの住民の流入をきっかけとして、彼らを顧客とする新しいビジネスが近隣商店街に参入し、商店街は住宅街と共に再生した。 第2に、再生プロセスで最も重要な役割を果たした個人・組織は、不動産所有者とそのコミュニティ組織である。一方、市当局が果たした主要な役割は、活性化事業に巨額な補助金を提供することではなく、むしろ、市の主要産業を製造業から金融・サービス業に転換させた、というマクロレベルでかつ間接的な役割である。同市の産業転換の成功によって、大量な若い専門職が市に移入した。彼らは商店街の再生を支えた主な顧客である。
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Research Products
(2 results)