2011 Fiscal Year Annual Research Report
LCCが地方空港に与える影響に関する定量分析-英国を事例として-
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22730343
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
横見 宗樹 大阪商業大学, 総合経営学部, 准教授 (20388424)
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Keywords | LCC / 空港経営 / 地方空港 / DEA(包絡分析法) / 技術的効率性 / 技術的効率性 / 空港の所有権構造 / 空港民営化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、LCC(低費用航空会社)が地方空港の経営効率性に与える影響を計測することである。イギリスはヨーロッパのなかでも早期にLCCが発展し、近年では地方空港に対しても積極的に就航している。LCCは地方空港を発地とする潜在的需要を顕在化する一方で、地方空港はLCC誘致のために空港使用料の低減を図ろうとする。つまり、LCCと地方空港は相互作用を及ぼしながら発展を遂げてきた。 昨年より、わが国でもLCCの設立・就航の動きが急速に顕在化しているが、こうした状況のなか、わが国でLCCが操業可能な環境について検討する必要性が新たに生じている。わが国では、1985年の航空規制緩和以降、新規航空企業が参入を果たしながら、実際には既存大手の航空企業による対抗値下げなどの措置により競争上の優位性を発揮することができなかった。しかしながら、2010年に、わが国で最大の航空企業である日本航空が経営破綻したことにより、非大手の航空企業における競争環境は大きく変貌したと考えられる。 そこで、わが国の航空輸送市場における環境変化を検討するうえで、なぜ日本航空は経営破綻に陥ったのか、その要因を考察することにした。2011 ATRS World Conferenceにおける研究報告「Airline Merger and Productivity: Why did JAL go bankrupt?」(共同報告)では、JJ統合(日本航空と日本エアシステムの経営統合)が、当該企業の生産性や効率性にどのような影響を与えたか、TFP(Total Factor Productivity)とDEA(Data Envelopment Analysis)を用いて分析をおこなった。その結果、日本航空の労働費用と資本費用が全日空より高水準であったことから、これが日本航空の破綻要因のひとつであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、2011 ATRS World Conferenceにおいて「Airline Merger and Productivity: Why did JAL go bankrupt?」というテーマで研究報告をおこなった。その一方で、日本航空の経営破綻や、わが国で初めてとなるLCCの誕生など、航空輸送市場を取り巻く環境変化を研究のなかに取り込む必要性が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
わが国の航空輸送市場を取り巻く昨今の環境変化を研究のなかに取り込むとともに、昨年よりLCCの「旅客」に焦点を当てた研究が海外ジャーナルにおいて散見されるようになったことから、LCC旅客の空港ターミナルにおける消費行動についても研究対象として検討する計画である。
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Research Products
(5 results)