2011 Fiscal Year Annual Research Report
インタンジブルズとしての人的資産の管理を含めた統合的業績管理システムの実態と理論
Project/Area Number |
22730351
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
内山 哲彦 千葉大学, 法経学部, 准教授 (50334165)
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Keywords | 会計学 / 管理会計 / インタンジブルズ / 人的資産 / 業績管理 |
Research Abstract |
平成22年度は、日本企業を意識して基本モデルの拡充に努め、人的資源会計、戦略的資源管理、バランスト・スコアカードと戦略マップの知見を複合的に検討し、インタンジブルズとしての人的遺産の価値の測定について考察を行った。 平成23年度では、これまでの理恵論的考察さらびにインタビューによる事態調査に基づき、本研究がテーマとする「統合的業績館システム」について定義とフレームワークを明らかにした。そのなかで、これまで明らかにしてきた成果主義に加え、人的遺産の戦略的マネジメントにおいて必要なもう1つの要素である人財育成(採用と能力開発)について重点的に行い、モデルの深化と拡張を図った。具体的には、戦略に整合した人的遺産の構築が求められるなか、人財育成が成果主義と同様のフレームワークのなかで考察できるのか検討した。その結果、人財育成の長期性とインタンジブルズとしての人的遺産の性格との整合性の検討、正規雇用・長期雇用だけを前提とするのではなく短期雇用や人材の外部調達を含めた研究、戦略・業績への短期的・直接的貢献と人財育成のリンケージの認識、戦略的マネジメントにおける人的遺産の貢献性の細分化という、4つの新たな研究課題を明らかにした。これらはいずれも、戦略の実行に向けた業績管理と人的遺産の戦略的マネジメントとの関係性にかかわる問題であり、今後の実態調査等も通じて検討を行っていく必要がある。 理論的研究と並行して実態の把握を継続し、東京証券取引所1部上場企業を対象とした質問票調査を実施するとともに、業績管理と人的遺産のマネジメントとのかかわりに関して、実務家に対するインタビュー調査を行った。平成23年度は、サービス企業4社、ユーティリティ企業1社の実務家に対してインタビューを行い、日本企業における実態の把握を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間全体にわたって理論的考察を継続して行い、研究フレームワークの拡充に努めるとともに、平成23年度までに質問票調査の実施ならびに実務家に対するインタビュー調査を開始し、日本企業における実態の把握を行うことを計画していたが、これらはすでに実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、質問票調査結果の統計的分析を行い、新たな知見の導出を図る。並行して、質問票調査の回答企業を含めて、新たなインタビュー調査サイトの開拓に努め、より個別的・具体的な企業実態の把握を行う。また、理論的考察の結果および調査によって把握された企業実態に基づき、知見の体系化を図る。
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