2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22730354
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
首藤 昭信 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (60349181)
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Keywords | 非上場企業 / 利益調整 / 税コスト / 金融機関 / 損失回避 |
Research Abstract |
本研究の目的は,わが国の非上場企業の利益調整行動を実証的に解明することであった。具体的には,非上場企業の利益調整行動を上場企業と比較することによって,非上場企業の利益調整の特徴を検出ことを目的とする。日米における先行研究のほとんどは,上場企業を分析対象としたものであり,非上場企業の裁量的会計行動に関してはほとんど解明されていない。本研究では,税コストや金融機関との結びつきの強さといった日本特有の制度的要因が,利益調整を誘引する(しない)主要な要因となるという仮説を設け,その実証分析を行う。 上記のような目的を達成するために,本年度では,研究実施計画にしたがって,(1)実証分析の実施と(2)ワーキング・ペーパーの執筆を行った。(1)では,昨年度に計画したリサーチ・デザインにしたがって分析を行った。その結果,本研究が設定した仮説と概ね整合的な結果が得られた。わが国の損失回避の利益調整行動は,他国と比較してより顕著であることが知られているが,これは(1)税務会計と財務会計の結びつきの強さ,(2)銀行依存度の強さ,という2つの制度的特徴によって説明されることが明らかになった。さらに,このような利益調整は予測どおり,上場企業よりも非上場企業のほうが顕著であることが示された。(2)では,このような結果のより深い解釈を行い,ワーキング・ペーパーの執筆を行っている。 次年度以降では,ワーキング・ペーパーを完成させ,国内外の学会やワークショップで報告を行うことを予定している。そして論文のブラッシュ・アップを図った上で,ジャーナルへの投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,実証分析を終了し,ワーキング・ペーパーの執筆に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の課題であった実証分析では,事前の予測どおりの分析結果が得られたため,現状では大きな問題点は抱えていない。当初の研究計画どおり研究を遂行する予定である。平成24年度の初めには,英文でのワーキング・ペーパーを完成させ,国内外の学会やワークショップで報告を行う。年度内には,ジャーナルへの投稿を予定しているため,学会等で得られた意見を参考にしてワーキング・ペーパーの改善作業を行う。
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Research Products
(4 results)