2010 Fiscal Year Annual Research Report
企業の合併・買収は投資家の期待する経済効果をもたらしたか?
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22730358
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
高橋 美穂子 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (20438104)
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Keywords | 会計学 / 株式公開買付(TOB) |
Research Abstract |
本研究では、合併・買収の中でも株式公開買付(TOB)を取り上げ、買収プレミアムと買収企業および買収対象企業の株価効果との関連性を検証した。サンプルは、買収企業および買収対象企業が日本企業である1991年から2007年までのTOB案件のうち、分析に必要なデータが入手できた142件を対象とした。買収企業および買収対象企業の累積異常リターン(CAR)は、TOBの公表日を含む3(5・11・21)日間について、市場モデル(推定期間50日間・検証期間21日間)を用いて推定した。また、買収プレミアムは、TOB公表日前日の株価を基準として計算した。 分析の結果、買収プレミアムのサンプル平均は9.19%であり、CARに影響を与えると考えられる買収企業および買収対象企業の財政状態、業種や資本関係などをコントロールしても、買収プレミアムは買収企業のCARと負の関連性を有していることが示された。これに対して、買収対象企業のCARと買収プレミアムは、正の関連性を有していることが示された。さらに、買収プレミアムは、それがプラスあるいはマイナス(ディスカウント)の場合で、買収企業および買収対象企業のCARに与える影響が異なる可能性がある。そのため、買収プレミアムが+5%以上のプラス案件と-5%以下のディスカウント案件に分けて、買収プレミアムと株価効果との関連性についての追検証を行った。その結果、買収企業では、買収プレミアムがマイナス(ディスカウント案件)の場合、買収プレミアムと株価効果には正の関連性が示されたが、買収プレミアムがプラスの案件では、買収プレミアムは株価効果に影響を与えないことが示された。これに対して、買収対象企業では、買収プレミアムがマイナス(ディスカウント案件)の場合には、買収プレミアムと株価効果との間に有意な関連性は示されず、買収プレミアムがプラスの案件では、買収プレミアムと株価効果の間に正の関連性があることが示された。
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Research Products
(2 results)