2012 Fiscal Year Annual Research Report
企業の合併・買収は投資家の期待する経済効果をもたらしたか?
Project/Area Number |
22730358
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
高橋 美穂子 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (20438104)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 会計学 / 株式公開買付(TOB) |
Research Abstract |
当該年度は,引き続き,企業のM&A取引を通じた経営統合化が株式市場でどのように評価されているのかを検証するため,前年度に行った分析方法の精緻化および分析結果の頑健性の検証を行った. 経営統合化の中でも,完全子会社化によるグループ企業の再編が株主価値の創造に貢献しているか否かについて検証している先行研究は存在する.しかし,そこでは,M&A取引の中でも株式交換に焦点が当てられているため,完全子会社化案件のみが分析対象とされている.これに対して,本研究では,株式公開買付案件を取り上げ,その中でも,完全子会社化案件と非完全子会社化案件とを区別して,両者の間で異なる市場反応が観察されるか否かを検証した.このように,非完全子会社化案件との比較を通して,完全子会社化案件に対する市場の評価を検証している点が,先行研究には見られない本研究の特徴である. 分析の結果,買付企業では,株式公開買付の中でも完全子会社化を目的とする取引の場合に,有意なプラスの株価効果が観察されたのに対して,完全子会社化を目的としない取引の場合には,有意な株価効果は観察されなかった.また,対象企業では,買収プレミアムなど,完全子会社化案件であるか否か以外の要因が,対象企業の株価効果に影響を与えている可能性が示された.さらに,買収企業と対象企業の超過リターンを時価総額で加重平均した値は,完全子会社化案件の場合にのみ,有意なプラスの値となることが観察された. これらの発見事項は,株式公開買付を通じた経営統合化の中でも,資本統合度の高い完全子会社化を目的とする公開買付の場合には,買付企業および対象企業双方の株主価値の向上をもたらす統合効果が期待できると,株式市場が評価していることを示唆するものである.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)