2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730359
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
平井 裕久 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (40399019)
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Keywords | 企業価値評価 / 併用方式 |
Research Abstract |
本研究では、M&A、特に公開買付の際の企業価値評価において、割引キャッシュ・フロー法(DCF法)、類似企業比較法(マルチプル法)、および市場株価法などの評価方法のうち、どの方法がどのくらい重視されているかを検証することを目的としている。 本年度前半までには、『公開買付届出書』からデータを収集し、それぞれの評価方法による評価額と最終的な買付価格との関係を、複数の価値要素を考慮したYee(2008)のモデルを参考に検証をおこなった。その結果、複数の価値評価額のいずれに大きなウェイトがおかれて買付価格が決まっているかを確認した。この併用方式に関するYee(2008)のモデルを検討するとともに、TOBデータを用いて検証することにより、モデルの拡張の必要性についても明らかにした。今年度後半では、ここまでに明らかとなったモデル拡張の必要性から、重回帰分析を用いた検証も行なった。これらの結果では、相関係数と分散から推定した最適なウェイト、特に評価方法の分散の代理変数として各評価額の中間値の分散を用いたときのウェイトと整合的であった。また、ここでのウェイト推定ではすべて、類似企業比較法に対するウェイトが小さくなるという結果も明らかとなった。 この結果を踏まえ、M&Aにおける価値評価はもちろん、非上場企業の株式価値評価や、株式買取請求権の行使などにより生じる裁判所における価値評価など、幅広い局面においてベンチマークとして利用できる価値評価方法を得ることができると期待される。
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