2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730365
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤野 雅史 日本大学, 経済学部, 准教授 (60361862)
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Keywords | 公会計 / 管理会計 / アカウンタビリティ / 予算 / 業績管理 / 基本計画 / 行政改革 / 公共経営 |
Research Abstract |
本研究の目的は,公的部門において整備されつつある業績情報および財務情報のアカウンタビリティを強化するために,管理会計がどのように実践されているのかを明らかにすることにある。2010年度は,アカウンタビリティの基本的な概念について欧米の文献を中心に調査し,公的部門におけるアカウンタビリティ,とくに管理的アカウンタビリティと政治的アカウンタビリティの区別を明らかにした。管理的アカウンタビリティとは,大統領や大臣・長官から指名された公務員がその上司である大統領や大臣・長官に対して負っている責任であり,政治的アカウンタビリティとは,選挙で選ばれた大統領や大臣・長官が議会および市民に対して負っている責任である。このような概念整理にもとづいて,米国・英国・日本の予算制度および業績管理の仕組みを比較・検討した。その結果,米国と英国では,管理的アカウンタビリティが1990年代前後から着実に確立されてきたのに対して,日本では管理的アカウンタビリティがいまだ脆弱であることがわかった。この違いが,米国や英国でアカウンタビリティの強化に向けた長年にわたる取り組みの継続性が保たれているのに対して,日本では取り組みの継続性があいまいで政治的なパワーに左右されることが多いことの一因になっている。日本でも,管理的アカウンタビリティの側面から,予算・会計・業績管理の関係組織とそのシステムに残されている課題に取り組む必要がある。
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