2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ・マクロ・ループ形成のためのABCの役割期待
Project/Area Number |
22730367
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
片岡 洋人 明治大学, 会計専門職研究科, 准教授 (40381024)
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Keywords | 製品原価計算 / MMループ / コミットメント / 「場」 / イトーヨーカ堂 / 商品別(部門別)損益計算 / 会計担当者 / 自律的組織 |
Research Abstract |
初年度である本年度は、現代的な企業組織である自律的組織の概念とMMループに関する文献を整理した。先行研究は多岐にわたるが、とくに製品原価計算に関する先行研究をまとめたのが次の2点である。第1には、Noreen(1991)による研究潮流に基づいて製品原価計算研究の生成・発展を回顧した上で、適切なMMループを形成するために不可欠な正確な増分原価情報に関する議論をまとめた著書『製品原価計算論』である。第2は、雑誌発表論文「製品原価計算研究における近年の動向-analytical approachを中心に-」である。 しかしながら、製品原価計算に関する研究を蓄積するだけでは十分ではない。組織内でコミットメントを形成するためには、情報相互作用を生じさせる「場」が重要な役割を果たす。会計担当者は、「場」において、経営上の様々な問題解決事案にトップや業務担当者とともに参画しなければならない。したがって、そのことをヒアリング調査等に基づいて十分に検討し、「場」を通じて、階層間/部門間でのコミットメントが形成され、適切なMMループが形成されることを検証する必要がある。 本年度におけるヒアリング調査はイトーヨーカ堂を中心に行った。イトーヨーカ堂では、組織業績のループを形成するためには、商品別(部門別)販売管理日報、商品別(部門別)損益計算システム、単品管理システムをはじめとした多岐にわたるシステムが構築されている。その中でも、商品別(部門別)損益計算システムでは、責任階層に基づいた7段階の損益計算を行っている点が興味深い。その成果は、学会発表「イトーヨーカ堂の経営システム」において中間的に報告している。
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Research Products
(5 results)