2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ・マクロ・ループ形成のためのABCの役割期待
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22730367
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
片岡 洋人 明治大学, 専門職大学院・会計専門職研究科, 准教授 (40381024)
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Keywords | 製品原価計算 / 会計担当者 / 会計デザイン / ヒアリング調査 / イトーヨーカ堂 / ジー・プラン / 商品別(部門別)損益計算 / MMループ |
Research Abstract |
第2年度である本年度は、先行研究に基づいて、多くの企業へのヒアリング調査を中心に研究活動を行った。 まずはイトーヨーカ堂株式会社の調査である。同社の経営システムには創業者の理念が組み込まれており、「モノづくり-ヒトづくり-カネづくり」が三位一体となって機能している点に、その特徴を見出すことができる。それらは次の2つの成果にまとめられている:第1の成果は、2010年度における日本原価計算研究学会関東部会における報告の内容をまとめた論文「イトーヨーカ堂の経営システム」(『産業経理』2012年7月号に掲載予定:前田陽准教授・藤野雅史准教授と共著)である。同社の組織コンテクストの形成過程を明らかにした上で、商品別(部門別)損益計算システムおよび単品管理システムの特徴と利用方法を明らかにしている。この責任階層に基づいた7段階の損益計算システムは大変興味深い。第2の成果は、邊見敏江(2011)『イトーヨーカ堂の経営力強さの原理』ダイヤモンド社.の第1章~第8章における各章の「学者の眼」の節(全32頁:前田陽准教授と共著)である。学術的な視点から同社のシステムの有効性を明らかにしている。 イトーヨーカ堂以外にも数社にヒアリング調査を行ったが、とくにジー・プラン株式会社については、同社が生み出した革新的なビジネスモデルと、そのビジネスモデルに適応するように開発した会計システムに関する貴重な経験を、学術的な視点からまとめて研究報告している(片岡・岡田・窪田「提携型ポイントプログラムの生成・進化と会計情報」)。この研究報告の内容をさらにブラッシュアップしたものが「会計デザイン:ポイント交換プログラムの生成・進化の経験から」(『會計』2012年5月号掲載予定)である。実際に会計活動が行われている同社の「場」において、ビジネスモデルの生成・進化とともに会計担当者が果たしてきた役割を明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において先行研究のレビューを十分に行い、初年度および本年度ではヒアリング調査に基づいて、企業の会計実務を観察するとともに、それを学術的な視点からまとめることが徐々に形に現れてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における研究活動はおおむね順調に進んでいるものの、企業からの論文公表についての許諾が必要であることや、査読付き論文に投稿した場合の査読期間が長期に及ぶことなどから、結果的に成果の公表には時間がかかる(投稿と同じ年度内には公表できない)ケースが多い。 しかし、論文(成果)の投稿から公表までのタイムラグの問題を除けば、本研究課題における研究はおおむね順調に進んでいるため、これまで通りの方針で研究課題を推進する予定である。
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Research Products
(2 results)