2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22730371
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
東田 明 名城大学, 経営学部, 准教授 (50434866)
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Keywords | 環境管理会計 / マテリアルフローコスト会計 / 組織変化 / 環境会計 |
Research Abstract |
本研究の目的は、環境管理会計を導入及び継続的に実施している組織において、組織の「設計原理」、「サブシステム」、「解釈スキーム」についての変化の有無、要因、プロセスを明らかにすることである。 この研究目的に沿って、サンデン株式会社を調査対象として、これまで調査を継続的に行ってきた。その結果、サンデンは2005年以降、部門を変えながらマテリアルフローコスト会計の導入に取り組んできたが、各取り組みは一時的なプロジェクトとして行われたものであり、継続的にデータを取りながら、問題を明らかにし、資源生産性を高めるという取り組みには至っていないことが分かった。また、マテリアルフローコスト会計情報から、マテリアルロスに関する問題及び、その改善策の検討が実施されても、改善策が実施に移されるものは、製造現場で対応可能なものに限定され、製品の設計に影響するような取り組みは実施されていないことが分かった。その要因として考えられることは、マテリアルフローコスト会計と中長期経営計画との連携の欠如である。製品設計の変更のような中長期的に取り組まなければならない活動は、中長期計画と連動する形でなければ実現は難しい。しかし、サンデンでは、中期経営計画の中にマテリアルロス削減と関係する項目が含まれてはいるものの、それを実行する仕組みとマテリアルフローコスト会計情報が明確に関連付けられていなかった(東田明,2011,「マテリアルロス削減活動の課題の克服に向けて」)。 つまり、「設計原理」と「サブシステム」の変化は限定的であった。その要因はどこにあるのか、また組織構成員の認知側面に与える影響などについて考察することが最終年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響もあり、2011年前半はインタビュー調査を依頼して断られることがたびたびあった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、環境管理会計導入にかかわる、従業員の認知的側面に焦点を当てて研究を行う。それは、Laughlin(1991)のフレームワークにおいて、「解釈スキーム」と呼ばれるものである。これまで、環境部門とマテリアルフローコスト会計を導入した工場長などにインタビューを行ってきたが、その対象を広げ、マテリアルフローコスト会計に関わった人々の認識の変化が明らかになるようにしたい。
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Research Products
(2 results)