2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22730377
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
丸山 佳久 中央大学, 経済学部, 准教授 (10342312)
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Keywords | 森林会計 / 林業会計 / 環境会計 / 持続可能な森林管理 / 標準原価計算 / 原価管理 / 保続性原則 / 森林資源管理 |
Research Abstract |
平成23年度は次の3点について調査を実施し研究を進めた。1つ目は、平成22年度に引き続き、森林・林業分野における原価計算・環境会計の先行研究を調査し整理した。具体的には、全国森林組合連合会の「間伐生産性・コスト分析シート(間伐シートと略す)」を始めとする森林組合等の生産性分析を調査した。これらの生産性分析は、原価管理とは無関係に行われてきたが、伐採・搬出を対象とする原価計算のモデル構築をする際、標準作業量や標準価格(標準賃率及び標準配賦率)の決定に利用できることを明らかにした。そして、2つ目の調査として、兵庫県・丹波市森林組合において、平成22年度にモデル化した伐採・搬出の原価計算の実証を行った。生産性分析の調査を踏まえ、原価計算モデルの実証調査は、丹波市森林組合が記入した間伐シートのデータをもとに行った。実証調査によって、高性能の林業機械を導入して作業方法の改善を検討できるようにする等、モデルの改善の方向性を明らかにできた。また、3つ目の調査として、森林・林業分野における環境会計の枠組み(森林会計)を検討するとともに、効果の測定に関連する事項として、林野庁による1972年と2001年の経済評価(森林が生み出すサービスの推計)、高知県や広島県等における森林環境税の導入事例、オフセット・クレジット(J-VER)制度等を整理した。温暖化の抑制等のサービスは、その受益者から適切な対価が(一部を除き)実際に支払われているわけではないので、従来の会計の枠組みとは別に、環境会計という新しい枠組みが必要になることが明らかになった。以上の研究を通じて、本研究が構想する原価計算及び環境会計の基礎的な枠組みが提案できたこと、また、原価計算モデルの改善や森林会計モデルの活用の方向性等、平成24年度において取り組むべき課題が明確にできたことは、平成23年度の大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度から本務校を移動することになり、それにともない調査対象を、関西・中四国エリアから関東・東北エリアにまで広げることができるようになった。各地の実地調査等については、木質バイオマスの利活用を含め、森林・林業の地域性が強いために手間取り、当初の計画よりも時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は最終年度のため、(1)平成23年度までの各種調査に基づき森林・林業の原価計算・環境会計を総合的にモデル化する。また、(2)高性能な林業機械の導入を始めとする作業方法の改善等を検討できるように、伐採・搬出の原価計算モデルを改善する。改善モデルは丹波市森林組合における作業データ及びコストデータをもとに実証調査を行う。丹波市を始め日本の森林は成熟期を迎え搬出間伐が作業の中心となっているので、特に実証調査にあたっては、予算と時間の制約から当初の計画に優先順位を付け、搬出間伐の原価計算を最優先する。
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Research Products
(3 results)