2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代ジャーナリズム分析から導く対ナショナリズム自覚的対峙環境構築に向けた実証研究
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22730390
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中 正樹 静岡大学, 情報学部, 准教授 (70388685)
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Keywords | ジャーナリズム / ナショナリズム / メディア |
Research Abstract |
本研究の目的は、2001年から2010年にかけて日本が利害の当事者となった国際問題という基準で選定した5つの公的イシューに関わる新聞報道を内容分析することで、現代ジャーナリズムのナショナリズム観、現代ジャーナリズムにおけるナショナリズム言説の構造、そしてそれらが示唆する現代ジャーナリズムにおけるナショナリズムの意味を解明し、最終的にはジャーナリズムがナショナリズムと自覚的に対峙可能な環境を構築することである。 上記の目的達成のため、今年度は昨年度に続けて公的イシューに関わる新聞記事のデータベース化に取り組んだ。そして、収集した新聞記事データの内容分析に取り組んだ。そして、ジャーナリズムおよびナショナリズムに関する知識をさらに蓄積するとともに、研究手法の精緻化に努めた。 また、海外のジャーナリズムがナショナリズムという概念に対してどのように対処しているのかについても理解を深める必要があるという考えのもとで2010年度に実施したハンガリーにおける全国放送テレビ局のニュース担当者たちに対するインタビュー調査の成果を報告書にまとめた。加えて、報告書で得られた知見を、とりわけメディアにおけるナショナリズムの視点に着目して、「ハンガリー民主化革命後のテレビメディアの変遷に対する考察-ハンガリーのテレビメディア関係者へのインタビュー調査を通して-」と題する論文にまとめた。本論文は、『情報学研究』第17巻に掲載された。 以上が、平成23年度に実施した研究の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の参考として取り組んだハンガリーにおける全国放送テレビ局のニュース担当者たちに対するインタビュー調査が想定していた以上の成果を得たため、その研究成果をとりまとめるのに思いのほかエフォートを必要とした。結果として、収集した新聞記事データに対する内容分析の速度が、当初に予定していたよりも遅滞してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度で、本研究の参考として取り組んだハンガリーにおける全国放送テレビ局のニュース担当者たちに対するインタビュー調査に関する成果のとりまとめは一段落ついた。今年度は、前年度までの研究活動で得られた知見を生かし、これまで同時並行して蓄積してきたこれまでの新聞記事データを順次、内容分析していく。これらの作業で問題が発生するとするならば、内容分析の作業量が想定以上となることで研究報告のタイミングがずれてしまうことである。対策としては、これまで以上に本研究に対するエフォートの割合を増やすことを考えている。
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