2010 Fiscal Year Annual Research Report
「電波戦争」としての朝鮮戦争-米国による心理戦とプロパガンダ・ラジオ
Project/Area Number |
22730398
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 聡明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 学術研究員 (00514499)
|
Keywords | 韓国 / 北朝鮮 / ラジオ / プロパガンダ / 冷戦 |
Research Abstract |
本研究は、朝鮮戦争期において、米国が、朝鮮半島に向けて、どのようなプロパガンダ・ラジオを、いかなる意味をもって行っていたのかについて、「電波戦争」の観点から明らかにしようとするものである。本年度の課題として、朝鮮戦争「後」の時代である1950年代後半から70年代初頭にかけて、米国が東アジアで展開したプロパガンダ・ラジオについて分析した。 課題の遂行にあたり、本年度はまず、国内外での史料収集を行った。米国国立公文書館や議会図書館、スタンフォード大学では、国務省やUSIA、JCS関連の文書のほか、個人文書の収集を実施した。英国や香港の公文書館ではラジオ関係史料を、台湾の近代史研究所や国史館では華米関係史料の所蔵調査を実施し、関連文書の一部を収集した。韓国では、外交史料館にて韓米関係に関する外交文書を収集した。また、日本国内では外交史料館での外交文書の調査・収集を随時行った。 以上、国内外で収集した史料の分析を通じて、冷戦期に米国が展開したプロパガンダ・ラジオの実態を把握するとともに、東アジアにおいて「電波戦争」の基地が、どこに設置され、いかに機能していたのかを解明することができた。これらの成果は、日本国内だけでなく、米国や韓国など国外で開かれたシンポジウムや学会などの場で、幅広く発表した。本年度の成果を踏まえ、朝鮮戦争「前」における米国プロパガンダ・ラジオの実態解明をすすめながら、朝鮮戦争が、いかに「電波戦争」の側面を強く有していたのか。そのダイナミズムを描くことが、来年度の最も中心的な課題となる。
|
Research Products
(16 results)