2012 Fiscal Year Annual Research Report
アルヴァックスの階級論から集合的記憶論への連続性に関する研究
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22730401
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
横山 寿世理 聖学院大学, 政治経済学部, 准教授 (00408981)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 集合的記憶 / アルヴァックス / 時間的枠 / 空間的枠 |
Research Abstract |
平成24年度における当初の計画は、平成23年に関東社会学会大会テーマセッションにて報告した原爆文学批評研究を論文としてまとめ上げ、学会誌へと投稿することであった。この計画は、3年間の研究費を得て取り組んだアルヴァックス階級論と集合的記憶論の連続性を模索した結果、新たに明らかになった集団において共有される「保存」としての集合的記憶論(横山 2010)を実証する目的に基づいていた。 原爆文学批評群が、アルヴァックス集合的記憶の「時間的枠」「空間的枠」を再構成していることを明らかにした。原爆文学の批評を扱ったのは、原爆を題材とした原爆文学が、これらを読む次世代を同一の記憶を共有する者として原爆文学界に巻き込んでいく様子を示すためであった。アルヴァックスの時間概念と空間概念とが、単純な時間的継起と場所とを表すものでないことから、原爆文学批評界の「時間的枠」「空間的枠」に相当する観念を取り出すことになった。計画通り『ソシオロジ』への修正投稿を平成25年1月に果たしたが、掲載には結びついていない。 今後の課題は3つあり、これらの課題は関連し合っていると思われる。1つ目は、「原爆被害」という蓄積のあるテーマを集合的記憶として選んだことで、既存の「原爆の記憶」研究との差違と集合的記憶論の意義とを明確にすることにある。次に、集合的記憶の方法論が明確になっていないことが多くの研究を進める上で大きな困難となっているようだが、学説史を細かく洗い出し、集合的記憶が登場した背景(アナール学派と集合的記憶の違い)を明確にする必要が残されている。この2つ目の課題は、本研究申請時の目的からさらに発展した課題となる。最後に、アルヴァックスの集合的記憶論を肯定的に継承した研究としてポール・リクールの存在が重要であるように思われる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)