2010 Fiscal Year Annual Research Report
EPA外国人看護師・介護福祉士の異文化適応と異文化間看護・介護コミュニケーション
Project/Area Number |
22730402
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
高本 香織 麗澤大学, 外国語学部, 助教 (30550264)
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Keywords | 異文化コミュニケーション / 異文化間看護 / 異文化間介護 / 外国人ケアワーカー / EPA |
Research Abstract |
今年度は、EPAにより看護師・介護福祉士候補者として来日したフィリピン人を対象に聞き取り調査を行った。また、外国人ケアワーカー関連の文献研究を行い、関連学会やシンポジウム等に参加して、資料の収集と他の研究者の動向を調査した。これまでの文献調査で次のことが明らかになった。1.国内の異文化間ケアの現状-ホームヘルパー2級を取得した在日フィリピン人や、1990年の入管法改正により「医療」カテゴリーにおいて来日した外国人看護師がすでに日本で就労している。しかし、安定した雇用に結びつけるのが難しいため、外国人ケアワーカーによる異文化間ケアが国内で定着するには多くの課題が残されている。2.EPAに基づく外国人ケアワーカーの受け入れ-制度的な問題・課題として以下の問題が浮き彫りとなった。国家試験に関する問題(言語の問題、看護の文化差の問題など)、受け入れ側の負担(経済的、人的負担)、EPAの枠組みそのものに関する問題(画一的な枠組み、候補者の資格・能力と実際の業務とのミスマッチ)などが、今後日本における異文化間ケアの定着を妨げる要因となりかねない。3.外国人ケアワーカーを取り巻く言語・文化・コミュニケーションの問題-これまで概ね良い結果が報告されているが、コミュニケーション不足により問題が発生した事例もあった。これらの問題は、現場の日本人スタッフと外国人候補者の間のコミュニケーションスタイルの違いが影響している可能性がある。(例えば、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができない」「『あ・うん』の呼吸が理解できない」など。)今後は、文化的差異が現場でのコミュニケーションに与える影響をより深く理解するために、さらに聞き取り調査を進めていく必要がある。 本年度の研究結果は異文化コミュニケーション学会の年次大会(平成22年10月)にて口頭発表を行い、その後論文として発表した。(「異文化間看護・介護とコミュニケーション:EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受け入れをめぐって」麗澤学際ジャーナル、第19巻、第1号)
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