2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730412
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
金澤 悠介 立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (60572196)
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Keywords | コモンズ / 入会地 / 社会的ジレンマ / 計量社会学 / 環境 |
Research Abstract |
本研究は入会林野を対象に、既存のコモンズ研究を刷新するような知見と理論枠組みを提出することを目指す。以上の目的を達成するために、平成21年度は以下の2つの研究プロジェクトを遂行した。 (1)入会林野管理に関するデータベース構築と計量分析 『昭和47年全国山林原野入会林野慣行調査資料』に記載されている、1440件にも及ぶ入会林野の情報のデータベース化を行った。このデータベースには、各入会林野の所在地・所有名義・利用状況・入会権者の権利状況・管理義務の情報が入力してある。加えて、昭和47年当時の入会林野をめぐる状況を明らかにするために、昭和50年国勢調査の結果をもとに、各入会林野の所在地の人口や産業構成に関わる情報もデータベースに入力した。 そして、このデータベースに対し、初歩的な計量分析を行い、昭和47年当時の入会林野の管理形態の特徴を明らかにした。主な知見は、以下のとおりである。(i)当時の入会林野の約50%は、入村者や分家に入会林野の利用権の新規取得を認めるものの、利用権の譲渡は認めず、離村する場合には利用権が喪失する、という管理ルールを設定していた。(ii)当時の入会林野は「集落によって管理されるもの」と「半私有化といえるかたちで管理されるもの」に大別される。(III)地域によって、入会林野の管理ルールが大きく異なっていた。なお、これら分析結果は第83回日本社会学会大会で報告した。 (2)入会林野管理の現地調査 福島県只見町の共有林野管理のあり方を現地調査した。特に、集落ごとの共有林利用ルールの違いを調査した。ただし、今年度の調査は本格的な調査を行うための予備調査であり、実際の調査は研究協力者の朝岡誠氏(東京大学)によって行われた。
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