2013 Fiscal Year Annual Research Report
自由主義社会における社会的排除:資源分配・ネットワークと自由感によるアプローチ
Project/Area Number |
22730413
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
内藤 準 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 助教 (00571241)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 社会学 / 自由 / 社会的ネットワーク / 個人化 / 社会階層 / 社会意識 |
Research Abstract |
平成25年度は,第一に,前年度から継続の調査を遂行し分析をおこなった.結果の一部は刊行済み,さらなる結果は報告準備中である.この調査では「災害・健康・孤立・失業・貧困」という重要な生活領域に関して,人びとの暮らしの安全と安心を確保し,実質的な自由を与える社会経済的資源やネットワーク資源について調べている.分析の結果,女性や個人収入が少ない人は暮らしの不安を感じやすい状況にあることが分かった.ネットワーク資源については,災害や傷病時の援助,重要事の相談,経済的援助について,親族ネットワークを失ったときの脆弱性が大きいこと,全般的に男性の方が頼れる相手がいない傾向があること,男性では個人収入が少ないとネットワークについても不利な傾向があることなどが明らかになった.さらに,ネットワーク資源が自由に利用可能となる条件の分析を進めた.その結果,個人収入などの個人的資源はサポートネットワークのチャンネル数を増加させる一方,そのネットワーク資源の利用しやすさに関しては「関係の相互性」や「代替的なネットワークの存在」が有効だという重要な知見を見出した.一部のサポートネットワークが「主観的自由」を高めることも見出されている. 第二に,上記の調査の経験をもとに,東京都における標本抽出台帳の電子化の現状について社会調査を実施した.その成果は標本抽出作業の手法についての共著論文として刊行決定しており,社会調査の実践的ノウハウの共有に貢献するものとなった. 第三に,1955~2010年の全国調査データをもちいた「階層アイデンティティの個人化」に関する論文を刊行した.この論文では,日本の人びとが社会階層上のアイデンティティを形成する際に,世帯収入ではなく本人収入に依拠する傾向が2000年代に急に強まるという,自由に消費できる経済的資源の単位は個人か世帯かという問題をめぐる重要な知見を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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