2011 Fiscal Year Annual Research Report
途上国NGOのトランスナショナル化に関する研究―国際発展モデルの比較分析
Project/Area Number |
22730416
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 華生子 早稲田大学, 文学学術院, 講師 (80507905)
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Keywords | 東南アジア / 途上国 / NGO / 国際開発 / フィリピン / 海外事業 / 国際化 |
Research Abstract |
二年目にあたる本年度は、調査対象であるフィリピンのNGO「Gawad Kalinga」(以下、GK)の海外展開に支えるリソース調達メカニズムの考察を深化させ、そのうえで実際の活動にかかる国外事業モデルの分析を試みた。具体的には、リソース調達の一大拠点であるGKシンガポールと、プロジェクト実施地であるGKインドネシアに焦点に絞って現地調査を行った。 本年度の研究から得られた知見は、以下の二点に集約される。一点目は、プロジェクト・ベースの補助金供与からの脱却である。海外政府によるNGO支援は、特定の事業に適用されるのが主流であるが、GKはシンガポール政府の国際的な人材派遣制度を活用して、活動全般への援助を獲得している。さらに注目すべきは、こういった制度を足掛かりとして、GKはボランティア動員の拡大にも成功している点である。つまり、NGOのリソース調達戦略を当該政府の人材育成と社会貢献活動に結び付けることで、両者の目的を満たすwin-winの関係が築かれることとなり、NGOと政府との継続的な協働の仕組みが形作られている。 二点目は、多極型の国外事業モデルの体系化である。従来の国際NGOは、意思決定や資源配分の際に本部機構を経由するのが一般的であるが、GKの海外拠点はその多くが独立採算性であり、本部を介さない拠点同士の連携が促進されている。例えば、GKシンガポールで動員されたリソースは、独自の協力体制によりGKインドネシアの活動に直接投下されている。こういった海外拠点間のマルチなパートナーシップの形成は、ローカルな主体を開拓し、そのエンパワーメントを進めるための有効な方法論であるだろう。 以上のようなGKの取り組みは、途上国のNGOが自立性を築きながら海外展開を実現させていく一つのロール・モデルであり、多国籍化するNGOの今後のあり方を示唆しているだろう。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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