2012 Fiscal Year Annual Research Report
準限界集落における社会調査教育過程の社会学的実証分析
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22730418
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
島岡 哉 仁愛大学, 人間学部, 准教授 (80513895)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 社会学 / 準限界集落 / 社会調査教育 / アクション・リサーチ |
Research Abstract |
本年度は、調査地でのアクション・リサーチを続けつつ、ビデオデータの分析と、社会人となった本研究参加卒業生の追跡調査に重点を置いた。文部科学省「学士力」、経済産業省「社会人基礎力」などが提示され広まり、社会調査教育の中でも「現場に触れる」科目と関連付けて学生の育成を行う大学も増えている。学士力、社会人基礎力で措定されている理想像は、リーダーシップを発揮する、アクションを起こせる、コミュニケーション能力が高い、リカバリー能力が高い、協調性が高いなどの「比較的強い主体像」ともいえる。だが、本研究で明らかになったのは、「比較的強い主体像」のように、比較的、動的で可視的な特質をもつタイプの学生ではなく、その逆のタイプの学生層に対する社会調査教育の意味である。在学中の社会調査教育過程を、ビデオ・エスノメソドロジーの手法も用いて分析した結果、自らを「リーダーシップを発揮できない」「アクションが起こせない」「オーラル・コミュニケーション能力が低い」「リカバリー能力が低い」「協調性が低い」と否定的にとらえている学生にとっては、フィールドワークとは自分の不得意な側面が顕在化する場であった。グループでのアクション・リサーチの中で、自分のポジショニングを行っていく学生たちの姿が見られた。また、地域の方々から、自己の静的な面を、「下支えする力が高い」、「傾聴力が高い」、「口下手だが忍耐力がある」と評され、自己の特性を見直していく姿があった。本研究参加学生は、自らの特質を見つめつつ活動し、正社員として就職していった。キャリアップ転職を果たした学生もいる。これらを踏まえて、縦軸に「動的で可視的」「静的で見えにくい(あるいは不可視)」をとり、横軸に「在学中の社会調査でわかること」「卒業後にわかること」をとった4象限図式を作り、社会調査教育の効果やその意味に関する理論化と精緻化を試みているところである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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