2011 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダーセンシティブな家族介護者支援の可能性-男性介護者調査から-
Project/Area Number |
22730421
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
斎藤 真緒 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70360245)
|
Keywords | ケア / ジェンダー / 家族介護者 / 男性性 |
Research Abstract |
本年度は、(1)「男性介護者と支援者の全国ネットワーク(以下、男性介護ネット)」の会員を対募として行った調査分析、(2)介護と仕事との両立に関するインタビュー調査、(3)イギリスの家族介護者支援プログラムの検討を行った。 男性介護ネットの調査では、高齢で自らの健康の不安を抱えながら介護を続ける男性介護者が多い一方で、若い世代の介護者は、仕事との両立を切実な課題とする30代40代の介護者も増加傾向にあることが分かった。また、同居介護では、(1)排泄や食事、(2)長時間介護、(3)介護者自身の健康、(4)要介護者とのコミュニケーションにおいて悩みを抱える介護者が多かった。施設入所に対する葛藤から、在宅介護が長期化する傾向も明らかになった。さらに介護離職経験者が38.1%占めており、介護と仕事との両立が極めて重要な支援課題であることが明らかになった。 介護と仕事との両立に関するインタビュー調査では、利用したかった両立支援制度と、実際に利用した制度には大きな乖離が存在することが明らかになった。特に介護休業制度は、利用したかったが利用できなかった介護者が多い。回答者の多くは、両立のために有給休暇制度を最も利用しており、緊急時には、遅刻や早退、欠勤などで対応せざるを得ない現状が浮かびあがった。制度利用に関しては、育児と異なり関係性や介護環境が多様であるため、介護休業制度だけではなく、短時間勤務制度やフレックスタイム制度や在宅勤務制度など、多様な支援制度の導入と活用が重要であることが明らかになった。こうした制度が十分運用されない要因としては、制度を利用しづらい企業風土が大きいと言える。 イギリスの家族介護支援では、企業に対する働きかけも積極的に行っており、上記で指摘したような企業風土を改革する取り組みとして、経営者に対する研修が活発に行われていることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究途上において(6月)、妊娠が判明し、予定をしていた出張を兼ねた調査や文献研究が思うように実施できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度は育児休暇取得のため一時研究を中断し25年度から再開を予定している。イギリスを中心とする海外の家族介護者支援の検討および国際学会での発表は育児のため難しいと考えられる。この点については、補える範囲内で文献研究でカバーすることを予定している。
|
Research Products
(3 results)