2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730426
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Research Institution | Niimi College |
Principal Investigator |
大竹 晴佳 新見公立短期大学, 地域福祉学科, 講師 (00413526)
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Keywords | 社会学 / 戦後開拓 / 社会政策 / 地域社会 |
Research Abstract |
平成23年度は、次の3つの調査研究を実施する予定であった。 1.戦後開拓集落の現状に関する集落調査、2.入植第一世代および後継者の方々への聞き取り調査 3.戦後開拓集落の歴史的展開を把握するための文献調査 このうち1.および2.については、京都市原谷地区において聞き取りを行った。戦後開拓で拓かれた土地の多くが山間部に位置する中で、京都市原谷地区は、都市近郊にあるという点で比較対象としやすい他、入植した19戸のうち16戸が現在も残って生活しているという点で、特異な開拓地である。聞き取り調査により、昭和23(1948)年の入植以降、農業地域として興隆した後、宅地開発が盛んになり、バブル期の地価高騰を経て現在に至るまでの当該地域の変遷の中に、入植者を中心として形成された共同性のあり方が変容してきたこと、また、入植者と新住民とのあいだにおける共同性の構築が重要であるが難しいこと、などがわかった。また、野原開拓地(岡山県新見市)、備北開拓地(岡山県新見市)、蒜山開拓地(岡山県真庭市)の入植第一世代および後継者の方々と、文書によるやりとりを重ね、平成22年度までに行った聞き取りの補充調査を行った。 3.については、文献調査により、岡山県内で開拓農協設立に至った開拓地55地区について、開拓行政が終了した1974年時点での存続状況、および現在の状況を網羅的に把握した。その結果55地区のうち、1974年時点で集落としての存続が伺える地域は18地区と全体の3分の1であることがわかった。またそれらの集落の中でも現在の状況は様々であり(野菜もしくは畜産地域として存続していたり、観光が主産業となっていたり、兼業農家が主で跡取り世代は専ら通勤をしていたり、など)、同じ戦後開拓で拓かれた集落といえども、それぞれ共同性のあり方は異なるであろう、ということが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が平成23年10月以降、出産・育児休暇に入ったために、23年度後半は、予定していたフィールドワークが十分にできなかったが、その一方で、文献調査が進展し、「研究実績の概要」の項に記載した成果が得られた他、今後の実証研究をまとめる上での理論的枠組みの考察を進めることができた。また、22年度までに行ったフィールドワークの補充調査が進展していることによって、本研究最終年度の成果発表に向けた準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまで行った調査の補充調査および成果発表を行う。具体的には下記3点を進めていく。 1.これまで行ったフィールドワークの結果を分析し、本研究の目的に照らして考察を深めていく。必要に応じて補充調査を行った後、成果発表を行う。 2.「研究実績の概要」の項に記載した、岡山県内の開拓地55地区の現況に関する調査結果について、補充調査を行った上で、成果発表を行う。 3.上記2.を進めていく上で把握された開拓地の中で、まだ訪れていない地区で、なおかつ、本研究の目的を遂行する上で、上記1.の調査結果を補足し得ると判断された地区(すでに抽出済みである)について、補充調査を行う。 4.以上の成果について、調査対象地域の住民等に対する成果還元を行う。
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