2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロレベルに着目した少子化の解明と社会経済・環境効果に関する研究
Project/Area Number |
22730428
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Research Institution | National Institute of Population and Social Security Research |
Principal Investigator |
岩澤 美帆 国立社会保障・人口問題研究所, 人口動向研究部, 第1室長 (50415832)
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Keywords | 結婚 / 離婚 / 人口 / 生命表 |
Research Abstract |
初年度は、意図せざる出生の発生に関する日米比較を行うために米国のNational Survey of Family Growthを用いた指標と比較可能なデータや指標について検討した。米国では意図せざる出生の発生レベルが高く、社会経済的な違いも大きいほか、婚外出生が多いなど、その他の家族形成行動にも日本との違いがある。そこで、まずは日本における配偶関係行動の変化や社会経済的違いに関する現状をさぐるために、多相生命表を用いた配偶関係行動の要約や結婚意欲の変化について整理した。初婚年月、結婚解消年月(離婚または死別)、再婚年月のわかる個票データを用いることにより、各状態間の遷移確率を算出し、生命表関数を推定する。本年度は、少子化が本格化した1963年生まれ以降とそれ以前の世代で、誕生から40歳までの配偶関係状態がどのように異なるか、さらにそのような変化が教育水準別にどのように異なるかを検証した。高卒以下、専門学校・短大、大卒以上の3グループで比較した結果、いずれのグループでも有配偶期間が減少している一方で、低学歴層での離婚発生の多さ、高学歴層での再婚発生の多さなどから、低学歴層では離婚状態の伸長、高学歴層では未婚状態の伸長といった対比ができることが明らかになった。ライフコース上の事象は、先の事象が後の事象に影響をあたえる。また、かつて画一的と言われた日本人のライフコースは、近年、様々な側面で多様化している。したがって、個別の事象の変化だけをとらえていては、人生全体にどのようなインパクトをあたえるのかを理解することが難しい。今回の多相生命表は、そうした複雑な現象を比較的シンプルな指標に要約することを可能にする。また、属性別の比較の可能であり、出生や家族形成など、複雑に絡みあうライフイベントの観察にとって、ますます有用性が高まると思われる。
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Research Products
(1 results)