2010 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害児・者の性に対する「支援」の構築に関する研究
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22730433
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
京 俊輔 島根大学, 法文学部, 講師 (60441127)
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Keywords | 障児・障害者福祉 / 性 / 支援体制 |
Research Abstract |
2010年度は、研究計画に則り、研究の第1段階である松江市内の障害者支援施設のうち知的障害児・者と日常的に関わりのある施設の職員に対するインタビュー調査の分析を行った。分析は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。分析の着眼点は、インタビューデータを俯瞰する中で得られた「支援実施後に施設職員に『迷い』が生じていることに置き、支援体制全体の課題を明らかにした。 分析の結果、支援検討段階では、職員間、事業所間等での合意形成の困難さや、肯定的・否定的視点によるアプローチの相違、拠り所とする情報の錯綜が起こる一方で、それらの状況の調整役であるスーパーバイザーが機能していないことによる『専門職内コンフリクト』が生じていた。また支援実施段階では、支援が結果的に「知的障害者」役割を付与することになっており、それらを通じて『「迷い」の表出』状態へとつながっていることがそれぞれ明らかになった。分析が進んだ段階で、美作大学社会福祉学部 薬師寺明子准教授のスーパービジョンを受け、分析内容の質を高めた。なお本研究の結果は、学会報告および学術論文を通じて公表をしている。 本研究で得られた知見は、性に関する支援が専門的支援の範疇に含まれない、こんにちの社会福祉、とくに障害者福祉の実践現場において、今後の支援を検討する際のメルクマールになると考えられる。またこの研究を深化させることは、実践現場における支援の質の向上、ひいては福祉専門職の質向上にも寄与することになると考える。
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