2011 Fiscal Year Annual Research Report
男性家族介護者の地域福祉支援システムの構築に関する研究
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22730436
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
桐野 匡史 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (40453203)
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Keywords | 男性介護者 / 援助要請行動 / ジェンダー / 在宅介護 |
Research Abstract |
本研究は、在宅で高齢者を介護する男性の援助要請行動とその促進・阻害に関する実証研究を行うことにより、男性介護者への支援のあり方を検討することを目的としている。 本年度は、昨年度に実施した既存研究の文献レビューやインタビュー調査等の結果を踏まえ、質問紙調査を行った。具体的には、(1)家族介護者に対するアンケート調査、(2)介護支援専門員等の専門職に対する自由記述アンケート調査、の2つを実施した。とりわけ、前者は介護者(家族)の援助要請行動とその促進・阻害要因に関する項目で構成し、後者は、家族による在宅介護の現状と課題(特に男性介護者を地域で支えるための方策等)について高齢者や家族の支援に携わる専門職としての立場から自由に回答してもらった。その結果、男性介護者の援助要請行動は、女性介護者と比較して「親族を除く私的なつながり(インフォーマル・サポート・ネットワーク)」において有意に低くなっており、その傾向はとりわけ介護者が息子である場合において顕著であった。また、分析の結果、こうした傾向は普段からの近隣等とのつながりの希薄さが大きく関与していることが示唆された。なお、専門職に対する自由記述アンケートからは、専門職や民生委員、ボランティア等が一体となった支援ネットワークや男性による当事者会の必要性、さらには行政主体による取り組みのあり方が記述されていた一方、男性介護者特有の傾向(使命感、義務感、几帳面さ、援助の受け入れ拒否や当事者会への参加率の低さ)にいかに取り組み、男性介護者に対する地域支援のあり方を見直すべきなのかが課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、質問紙調査の企画・実施は完了し、現在その解析に着手している。今後は、これらの解析結果を基礎に、男性家族介護者の地域福祉支援のあり方について思案し、考察を深める予定である。以上のことから、研究の達成度(進渉状況)は「おおむね順調」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記の質問紙調査の結果を集約し、その成果を学会発表あるいは学術論文等により社会に発信する予定である。それに先立ち、研究成果を再度、研究協力者等と再確認し、必要に応じて彼らの協力を得ながら成果の報告を行う予定である。
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