2012 Fiscal Year Annual Research Report
新たな2つの尺度を用いた高齢者の社会・生産的活動とウェルビーイングの縦断的研究
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22730444
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
岡本 秀明 和洋女子大学, 生活科学系, 准教授 (30438923)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢者 / 社会活動 / 生産的(プロダクティブ)活動 / 活動満足度 / ウェルビーイング(well-being) |
Research Abstract |
初回調査のデータベースを用いて、新たな友人の獲得に関する要因の検討を行った。分析対象者は、有効回答が得られた1067人の高齢者のうち、代理回答を除外し、主要項目に欠損値がないこととした。 回答が得られた897人のうち、年内(過去約8か月間)に新たな友人を獲得した者の割合は、23.9%、していない者の割合は、76.1%であった。同じく、回答が得られた869人のうち、新たな知人を獲得した者は25.8%、していない者は74.2%であった。 新たな友人の獲得に関する要因の検討は、新たな友人の獲得の有無を従属変数、年齢と性別をコントロール変数として、二項ロジスティック回帰分析を行った。独立変数に投入する変数は、個人活動を示す2変数(近所づきあい、運動・スポーツ)、社会的な活動を示す4変数(趣味などの仲間内の活動、町内会・自治会、老人クラブ、ボランティア活動)、または、学習的な活動を示す3変数(高齢者大学などの高齢者向け教室、カルチャーセンター、講座や講演会)のそれぞれとした。 二項ロジスティック回帰分析を行った結果、個人的な活動については「近所づきあい」「運動・スポーツ」の2変数が有意な関連を示し、社会的な活動については「趣味などの仲間内の活動」「老人クラブ」「ボランティア活動」の3変数が有意な関連を示し、学習的な活動については「講座や講演会」の1変数が有意な関連を示し、それぞれの活動をしていない者よりもしている者のほうが、新たな友人を獲得する確率が高かった。 以上のように、第1に、高齢期においても、新たな友人・知人のネットワークが形成される場合が少なくないことが明らかになった。第2に、活動内容にもよるが、個人的な活動、社会的な活動、または、学習的な活動をしている者は、していない者よりも、新たな友人の獲得に結びつきやすいことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、初回調査のデータベースにより、高齢者の新たな友人の獲得に関する要因の検討を行った。そのため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、第2回調査(追跡調査)を実施し、縦断的調査のデータベースを作成する。そして、縦断的調査のデータベースを用いて分析し、研究の目的に示した事項を明らかにする予定である。 上記について、具体的には、2010年度に実施した初回調査で有効回答が得られた対象者の中で、代理回答ではない者や主要項目に欠損値が少ない者を抽出し、第2回調査対象者リストを作成する。そしてその対象者に対して、2013年の8~9月頃に郵送調査の実施を目指す。 縦断的調査データベースの作成と分析については、第2回調査の実施によりデータが得られた後、そのデータを初回調査のデータベースに追加し、縦断的調査データベースを作成する。そして、研究目的を明らかにするために、以下の分析をおこなう。第1に、高齢者の社会・生産的活動が、新たに開発した活動満足度の2つの尺度(「日頃の活動満足度尺度」と「社会活動に関連する過ごし方満足度尺度」)の得点と関連があるかどうか、特にどのような活動が関連しやすいのかなどを分析する。第2に、高齢者の社会・生産的活動が、生活満足度などのその他のウェルビーイング指標と関連があるかどうかを分析する。第3に、高齢者の社会・生産的活動の促進・阻害要因や活動継続要因が何かを分析する。第4に、高齢者の新たな友人・知人の獲得に関する要因としてどのようなものがあるか、新たな友人・知人を獲得した高齢者はそうでない高齢者と比較して、新たに開発した活動満足度の2つの尺度の得点やその他のウェルビーイング指標の得点がどのようになるのかを分析する。 分析結果を提示できるようにまとめ、学会発表などにより、研究結果の発表を行うことを目指す。
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Research Products
(2 results)