2011 Fiscal Year Annual Research Report
多文化間における「かかわり」促進のためのソーシャルワーク支援の方法
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22730453
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Research Institution | Aichi Mizuho College |
Principal Investigator |
荻野 剛史 愛知みずほ大学, 人間科学部, 講師 (00410861)
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Keywords | ソーシャルワーク / ベトナム難民 / かかわり |
Research Abstract |
本研究では、滞日ベトナム難民(以下、「ベトナム難民」)と地域社会との「かかわり」に注目し、その促進のためのソーシャルワーク支援の方法を明らかにすることを目的としている。この目的の達成のために、研究期間中、「ベトナム難民」とその環境(地域社会など)の人々の両方にインタビュー調査を行うこととしている。2011年度は、主に「ベトナム難民」10名に対し、彼らと「重要な他者」(隣近所の人や職場の上司・同僚など、ベトナム難民の身近な場面で、彼らに対して生活上の諸援助を提供する特定の日本人)との関係構築のプロセスに関するインタビュー調査を行った。 インタビューの内容は、修正版グラウンデット・セオリー・アプローチ(M-GTA)を以て分析した。分析の結果、調査対象となった「ベトナム難民」は<受動的な『重要な他者』の取得>→<『普通』の付き合い>→<受身からの脱皮>→<交互作用の深化>というプロセスを経ながら「重要な他者」とのかかわりを持ちながら日本での生活を送っていること、さらに「ベトナム難民」は<違いの認識>、すなわち「重要な他者」との文化的な違いを認識しながら前述のプロセスを経てきたことが明らかになった(<>は、M-GTAのストーリーラインにおけるカテゴリー名を表す)。 以上の点から、「ベトナム難民」にとっての「重要な他者」は、彼らが日本で経験する生活のしづらさに対して諸援助を提供し、また本研究の関心事である「かかわり」の促進に対しても寄与できる存在であると指摘できる。しかし「重要な他者」によるこれらの援助は、必ずしも社会福祉的な視点が含まれているとは言えない。このため「ベトナム難民」の身近な場面において、社会福祉における援助観を理解した人による援助が必要である旨を指摘した。
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