2011 Fiscal Year Annual Research Report
成人期障害者の暮らしの場の移行に伴う親子関係の再構築に関する研究
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22730454
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
田中 智子 佛教大学, 社会福祉学部, 講師 (60413415)
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Keywords | 成人期障害者 / 障害者の家族 / 障害者の親の会 / デンマーク |
Research Abstract |
今年度は、平成22年度に実施したインタビュー調査の分析・考察を進めてきた。本インタビュー調査は、現代における障害者とその家族の実態を考察したものであるから、現代をより歴史的文脈の中に位置づける必要性から戦後の行政資料をもとに成人期障害者とその家族の生活実態について整理した。その結果、戦後一貫して、障害者の生活は家族によって支えられてきたこと、更には障害者の経済的基盤の脆弱性は家族によって包摂されたことで不可視化されてきたことを明らかにすることができた。 また海外調査については、今年度は、デンマーク(当初はスウェーデンを予定していたが、デンマークの障害者の親の会が成人期障害者の生活の場の以降について重要な発言をしていることからデンマークに変更した)の成人期障害者の親、専門機会、親の会の代表者へのインタビュー調査を実施することができた。その結果、デンマークにおいては比較的スムーズに暮らしの場の移行が行なわれており、それを支える障害者本人・家族への幼少期から連続した重層的な支援が構築されていることが、障害者本人や家族における家族観・暮らしの場の移行についての考え方に影響を及ぼしていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本国内におけるインタビュー調査は終了し、今後は分析を行なったうえで公表をする予定である。また、海外についても関係者・機関へのインタビュー調査を行なうことができ、今後更にインタビュー調査を重ねるためのコネクションも築くことができた。またインタビュー調査の考察を深めるために、歴史的変遷に着目するという新たな研究視角を得ることができており、研究全体としておおむね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集した国内外のインタビューデータを整理し、本研究の成果として公表していく予定である。また、改たに得た歴史的変遷に着目するという研究視角についても今後更に考察を深める予定である。
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