2010 Fiscal Year Annual Research Report
障害のある子どもの家族及び障害当事者への心理教育の効果
Project/Area Number |
22730461
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
米倉 裕希子 関西福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (80412112)
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Keywords | 感情表出研究 / 心理教育 / 知的障害 / 生活の質 / 家族 |
Research Abstract |
〔研究目的〕統合失調症患者の家族研究において知見が確立されている家族の感情表出研究を障害のある子どもの家族へ応用し、研究してきた。また、統合失調症患者の家族への心理教育は、病気の再発を予防するという知見が得られており、現在は家族だけではなく、患者本人へと広がりつつある。よって本研究は、障害のある子どもの家族および知的障害当事者への心理教育を検証することである。本年度は、知的障害当事者への心理教育実践を検証した。〔研究方法〕対象者は、地域に暮らす知的障害および発達障害のある本人で、心理教育の内容は「障害者福祉論」など月1回約90分の講座を全8回実施した。本人および家族あるいは支援者に対し生活の質を評価するため、WHOQOL26の指標のうち17項目で構成した短縮版を介入の前後で評価し検討した。また、11項目からなる参加後の変化に関するアンケートを実施した。〔研究結果〕分析対象者は、知的障害等のある本人14名とその家族ら14名である。本人の属性は男性8名、女性6名で、平均年齢は31.6±13.3だった。介入前後でQOLの総得点および平均値、下位尺度の「心理的領域」「社会的関係」「環境領域」について介入前後で対応のある検定を行ったが有意な差はなかった。また、それぞれの項目について一般人口の平均値と比較したところ、「金銭関係」で一般の人よりも有意に高かった。参加後の変化を問ったところ、本人では「話したり書いたりすること」が、家族らでは「知識や社会への関心」「責任感」で変化がみられたと答えた人が多かった。〔考察〕有効な分析対象数を得るため、今後も実践を重ねていくとともに、効果のあるプログラム内容の再検討が必要である。また、今回はQOLを効果の指標としたが、知的障害者の主観的QOLを評価する際には、社会経験の機会が少ないなどの生活状況を考慮し評価することが重要である。
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