2010 Fiscal Year Annual Research Report
性暴力で妊娠した被害女性のリプロダクティブ・フリーダムの実現
Project/Area Number |
22730467
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Research Institution | Yamaguchi College of Arts |
Principal Investigator |
小宅 理沙 山口芸術短期大学, 講師 (50523536)
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Keywords | 福祉 / ジェンダー / 性被害 |
Research Abstract |
本研究は、まず初めに、性暴力で妊娠した被害女性のリプロダクティブ・フリーダムの実現とはどのような状態を意味するのか、その実現にはどのような社会的要因が必要かなど、被害女性の実態やニーズを明らかにすることである。 そこで本年度は、被害女性やその家族へのインタビュー調査を中心に繰り返し実施した。それと同時に、今現在日本や海外において、妊娠した被害女性のためにどのような社会資源が存在しており、またその逆に、被害女性のニーズに対応できない社会資源は何かを明らかにするため、資料収集や文献調査も実施した。 韓国では、性被害女性が被害について何度も繰り返し話をするといった二次的被害を避けるために、たった一度だけ話を聞く体制をとる「ワンストップ」が実施されている。そこで実際に「ワンストップ」体制のもと被害支援を受けた被害女性に対するインタビュー調査を実施しに行った。被害について語ることが1回であったのは確かだが、何度も繰り返し話をしなければならない経験をしていないため、前者と後者の比較ができるわけもなく、1度ですんだこと自体への苦痛の軽減などは実感できないとのことであった。そして本研究の目的であるリプロダクティブ・フリーダムの実現については、自分の意志とは無関係に(意志や感情などが無い状態とも言えるが)ことが進んでいき、気付いた時には支援が終わっていたとのことであった。本年度貴重なインタビューを実施できたが、たった一人へのインタビューをもって確信的なことは提言できないため、韓国における被害女性へのインタビュー調査も継続していく。 また台湾における資料収集や、場合によってはインタビュー調査、またこれまで調査継続してきたアメリカでの調査研究、そしてもちろん日本においての文献調査やインタビュー調査も引き続き継続していく予定である。
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