2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730474
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
熊谷 智博 大妻女子大学, 文学部, 助教 (20400202)
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Keywords | 集団間葛藤 / 道徳性知覚 / 集団間接触 / ナショナリズム |
Research Abstract |
集団間葛藤を解決する要因として、外集団との接触機会の有無が外集団の道徳性知覚に影響し、外集団への協力的な態度を強める過程について検討した。大学生200名を対象として、在日中国人との接触経験の効果を検討した研究ではナショナリズムが、在日中国人の道徳性の差異や文化的脅威の認知を強めていたが、在日中国人との接触経験がある場合には、ナショナリズムが高い人でも外集団への協力的態度は低下することなく、ナショナリズムの低い人と同程度に協力的になることが示された。同様の方法で対象集団を「西洋人」に変えた研究(大学生180名)では、ナショナリズムの効果は更に強まり、ナショナリズムは単独で外集団の道徳性の差異の知覚を強めてはいるものの、その一方で外集団への協力的態度を強めるという結果が示された。次に実際の集団間接触ではなく、それを想像する事によって外集団に対する協力的態度が生じる可能性について検討した。その際、「どこで生じる」集団間関係への態度か、という点に焦点を当てた。特に内集団のテリトリーで外集団に対して良好な態度を取ることが出来るかどうかは、紛争解決において不可避の問題である。そこで日本人が中国人と接触する場面を参加者には想像させたが、その際に想像する都市を操作した(北京あるいは東京)。その結果、一般的に日本人が中国人と交流する際に、中国で集団間交流するよりも、日本国内で交流すること避ける傾向が示された。しかし中国人との接触を想像するだけで、そのような回避傾向が抑制された。また道徳性知覚はこの過程に影響していなかったものの、ナショナリズムが高い者は外集団の「人間的な温かさ」を強く知覚傾向が見られ、それが自国での外集団途の交流を促進していることが示唆された。外集団をイギリスに変えて同様の想像接触研究を行ったが、結果は同じであった。
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Research Products
(7 results)