2010 Fiscal Year Annual Research Report
中高年者の居住地域に対するコミュニティ感覚の構造と変化
Project/Area Number |
22730476
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 育子 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (10509821)
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Keywords | コミュニティ感覚 / 高齢社会 / 居住地域への態度 |
Research Abstract |
単身世帯の増加、人口の高齢化等の人口世帯構成の変化により都市部における地域と住民のつながりが注目されている。特に中高年期は就業等社会活動からの引退、健康の悪化等により地域で孤立するリスクが高まる一方で、地域活動を開始し地域でのつながりをつくる可能性も高まると想定される。中高年者と居住地域とのつながりの在りかたを理解し、つながりの促進、阻害のメカニズムを明らかにするために、本研究ではコミュニティ感覚(Psychological Sense of Community:PSOC)という概念に注目した。 地域在住の中高年者を対象とした居住地域に対してもつ態度の概念化と尺度構成の検討に基づき、態度の変化を時系列データによって検討するため、前年度実施したインタビュー調査の結果を踏まえて、首都圏近郊で自治体主催の社会活動に参加した参加者に参加初回、3か月後、半年後の3時点での居住地域への態度を測定したアンケート調査データを解析し、参加前後での変化を検討した。3時点すべてに回答した45名のデータを解析した結果、地域への態度に時系列での変化はみられなかった。もともと何らかの地域活動に参加しているか否かでの比較でも地域への態度に差は見られなかった。この結果を受けて前年度のインタビュー調査の再分析を行い、活動の内容が直接的に地域貢献に関わるものであるか、活動参加によって自分の家族に影響があるかなど、コミュニティ感覚の変化が生じるにはいくつかの条件が必要であるという仮説をたてるに至った。より多くのデータをより長期間に渡って収集し、コミュニティ感覚の変化が生じる条件を詳細に検討する必要があると考えられた。
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