2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730479
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
中間 玲子 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80343268)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自尊感情 / 自意識特性 / 自己概念 / 理想自己 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究は、低自尊感情者の自己形成過程を明らかにする事を目的としている。平成24年度は、自尊感情と自己概念との関連を明確にすることを目的に、(1)自尊感情と自意識特性および理想自己との関連の検討、(2)自尊感情と自己概念およびアイデンティティとの関連についての調査を行った。 (1)青年期を通して自己意識の質的側面と量的側面がそれぞれどのように変化するのか,また両者はどのように関係するのかを検討した。自尊感情との関連からは,公的自意識の高まりは定説通り自尊感情の低下と関連するが,私的自意識の高まりはむしろ自尊感情の維持に関連すると考えられた。また、両自意識は学校段階が進むにつれて相互関連性は低下すること、両得点ともに高くなることが示された。以上の内容は、日本教育心理学会第54回総会で発表された。なお、この調査において得られた47,774件の理想自己の自由記述データの解析については、現在進行中である。カテゴリ作成の合意形成まで達成された。 (2)自尊感情と自己の多様性との関係について、実験形式による調査データの分析を行い、自尊感情はそれぞれの自己との関係によって決定される側面があることが明らかとなった。以上の内容は、第7回国際対話的自己学会において発表された(共同発表、2人目)。また、自尊感情と自己概念およびアイデンティティとの関連を検討するため、新たな調査を行った。アイデンティティ尺度については、現代社会におけるアイデンティティ概念をふまえた尺度の日本語版を作成した上で、大学生に対するインターネット調査を行った。自尊感情とアイデンティティおよび自己の多様性認知との関連についての検討から、青年期を対象とした場合にはほぼ同じ得点の動きをすることの多かった自尊感情得点とアイデンティティ得点との違いが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に若干変更が生じており、アイデンティティに関する調査が入る結果となったが、研究全体の目的としては問題がなく、順調に進んでいる。ただし、理想自己の内容カテゴライズに予想以上に手間取っている点では、やや遅れていることを認めざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
理想自己との関連については早急にデータ解析を進め、出来る限り早く、次のステップに移れるように努力する。アイデンティティおよび自己概念との関連については、当初より研究範囲が広がることとなったため、研究会での意見交換を増やすなどして、協同的に進められる環境も用意する。
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