2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730480
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
礒部 智加衣 千葉大学, 文学部, 准教授 (20420507)
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Keywords | 社会系心理学 / 集団過程 / 排斥行動 / 集団移行可能性 |
Research Abstract |
本研究では、排斥行為を受けた人及び排斥行為に加担する人の心理過程について所属調整モデルに基づき検証することを目的とする。ある集団の成員に対する排斥行為の可能性を認知した時、1.排斥されたその成員の集団評価、2.その成員を観察していた他の集団成員の集団評価が、透過可能性によってどのように異なるかについて場面想定法、および実験的な検討を試みた。透過可能性が低い場合、つまりその集団から抜け出す可能性を低く見積もる場合には、被排斥者および排斥観察者は共に排斥の予期によって所属集団をより高く評価する可能性が考えられる。ある集団における排斥行為はその集団の魅力を低下させる要因となりうるが、欠乏した(するかもしれない)受容感を得たいと動機づけられるためである。 場面想定法における検討において、所属集団において誰かが仲間はずれをされている場面もしくは仲間から人気のある場面のいずれかを思い浮かべてもらった後、集団への評価に回答を求めた。その結果、集団の優位性が低い場合よりも高い(透過性が低い)場合、排斥場面想起後の集団評価が高いことが示された。次に、実験的に検証するため予備実験を行った。パーソナルコンピュータを介したキャッチボールを行う際に、ある成員にボールが回らない条件を設定した。仮説は十分に支持されなかった。排斥の予期の認知において個人差があるためだと考えられる。そこで来年度はデータ数を追加し、自己観・拒否感受性・一般的信頼などの調整効果を検討する。
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