Research Abstract |
1.昨年度に引き続き,関係性の構築と排他行動を明示するために,Cyber tossing ball課題(William, Cheung, & Choi, 2001)を援用する実験を行った。集団移行の可能性(高一低)を操作した後,排斥の操作を行った。6人グループのうち1名が排斥されるという場面の観察がそのグループに対する愛着にどのような影響を与えるかについて検討した。その結果,他集団に移行できないと思っていた人ほど,排斥の観察後に愛着を低めにくいことが示された。排斥を観察した後においても,その他の集団に移行できないと思えば(実際にどうであるかに関わらず),その集団に居続ける可能性が示唆された。 2.顔ドットプローブ課題を用い,排斥がもたらす初期反応について,刺激呈示時間等を改善して検討した。先行研究により排斥後には,受容を求めるために笑顔への注意が高まるとされていた(DeWall, et al., 2009)が,同様の傾向は認められなかった。しかし,排斥がない条件において,拒絶感受性が高い人が嫌悪顔を回避すること,排斥後に拒絶感受性が低い男性において,嫌悪顔を回避することが示された。さらに課題後,内集団(同大学)の他者受容を検討したところ,拒絶感受性が高い男性・拒絶感受性が低い女性は,その他者に対する受容が高いことが示された。整合的な結果は得られなかった。 3.受容・排斥後の外集団成員の受容について検討した。外集団として,移行可能性が低く,その外集団成員からの拒絶を予期する集団(日本人における中国)を扱った。その結果,受容条件よりも排斥条件において,外集団成員を受け入れないことが示された。排斥後は受容を求め関係構築に動機づけられるとされる(Gardner, et. al., 2005)一方で,新たな関係構築が容易でないと判断される場合には,関係形成に積極的にならない可能性が示唆された。
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