2011 Fiscal Year Annual Research Report
インターネット上の「情報爆発」がもたらす孤立と孤独の生起メカニズムの解明
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22730483
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
五十嵐 祐 北海学園大学, 経営学部, 講師 (90547837)
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Keywords | Webサイト / 複雑性 / Twitter / 社会的ネットワーク |
Research Abstract |
本年度は、インターネットの利用者に情報の過負荷をもたらす環境的・社会的要因について分析した。具体的には、(1) Webサイトの情報の複雑性を検討し、また(2) 東日本大震災におけるTwitter上の情報伝達の様態についても検討した。まず、サイトに含まれる情報の複雑性を明らかにするために、サイト内に含まれるコンテンツの特徴を統計的に縮約して表現することを試みた。具体的には、閲覧数の多いサイトのトップページから5つの構造指標を抽出し、その特徴を要約する3つの主成分得点を算出した。サイトの構造はHTMLタグで表現されるさまざまな要素から成り立っているが、分析の結果、第I主成分は文字数、画像数、リンク数といったサイトの内容や性質を示す基本情報、すなわち「大きさ」を表す成分として解釈可能であった。また、第II主成分、第III主成分は、サイトの視覚的な特性やインタラクティビティ、すなわち「形式」を表す成分として解釈可能であった。大きさ、形式というこれらの主成分の次元は、一般的な主成分分析で見出される傾向と一致するとともに、Webサイトの複雑性の規定因のうち、コンテンツと形式の次元にそれぞれ対応していた。また、情報の過負荷を経験しているインターネットの利用者が、どのように情報の取捨選択を行うのかを明らかにするために、東日本大震災発生直後から約2週間にわたるTwitterのログを解析し、ソーシャルメディアの社会的ネットワークにおける情報伝達の様態を探索的に分析した。その結果、Twitterの利用者は、災害発生直後、情報の発信源を確認しないまま情報の一方向的な拡散を行っていた。これに対して、災害発生から一定期間が経過した後には、発信元のユーザーとリツイート(情報拡散)を行うユーザーとのコミュニケーションが一定の割合で行われ、情報の発信源の確認を行う傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたWebサイトの構造分析を終え、社会的情報処理に影響を及ぼすと思われる心理的要因の分析も目処が付いている。
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Strategy for Future Research Activity |
Webサイトの構造分析において、当初予定していた情報エントロピーによる指標化が困難であることが判明したため、利用者がインターネット上の情報の信憑性をどのように弁別しているのか、さらに社会との関わりについてどう捉えているのかに焦点を当て、検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)