2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730494
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
中西 大輔 広島修道大学, 人文学部, 准教授 (30368766)
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Keywords | 社会的不確実性 / リスク |
Research Abstract |
本年度は、他者によって提供された情報が不確実性低減の上でどのように有効なのかを2つの側面から検討した。1つは、社会的ジレンマ状況下で他者の行動情報を参照することにより、協力率にポジティブな効果があるかどうかを検討する実験研究である。具体的には、2つの名義集団(各集団4名)を実験室に作成し、それぞれの集団内で社会的ジレンマゲームを行う実験である。本実験には、各集団に提供された資源が2つの集団間で比較され、提供資源の少なかった集団は提供資源の多かった集団から資源が奪われるというダブルジレンマ構造を用いた集団間葛藤状況を導入している。実験はまだ中途だが、集団間葛藤の程度(集団間の提供資源比較が個人の獲得資源に与えるインパクト)が強ければ協力率が高くなり、また、他者情報の提供により協力率が上昇するという傾向がこれまでのところ得られている(ここまでの結果については、人間行動進化学会で発表)。もう1つは、ゴシップ情報が信頼されるための条件を特定するための実証研究である。今年度はシナリオ実験により検討する予定だったが、共同研究者との議論の結果、まずは自由記述法を用いて、人々の間でよく流布している噂について収集をすることにした。来年度は自由記述で収集した噂からシナリオを作成し、どのような状況下で特にゴシップが信頼されやすいのかを検討する。特に注目するのは、情報内容がポジティブなものか、それともネガティブなものか、その情報を提供する者とターゲットとなっている者との関係性、情報の曖昧さなどである。
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