2012 Fiscal Year Annual Research Report
学習の動機づけにおける課題価値とコスト認知の葛藤解決支援に関する研究
Project/Area Number |
22730499
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
伊田 勝憲 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (20399033)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 教育系心理学 / 動機づけ / 課題価値 / コスト / 心理社会的発達 |
Research Abstract |
本年度は,研究計画最終年度にあたり,先行研究の展望および本研究課題の成果を踏まえ,課題価値(学ぶ理由)とコスト(学ばない理由)の両面に注目し,今後の研究の方向性についてまとめた。 まず,昨年度の「課題コスト尺度」開発の成果を踏まえて,学習回避動機としての課題コストを概念化した。従来の成功恐怖や成功回避動機の研究において指摘されているアイデンティティと学業成績の関係についての知見を敷衍し,生き方や価値観および将来目標などアイデンティティの具体的な内容と現在の学習領域の内容とが葛藤する場合,そのアイデンティティが明確であるほど価値づけが低下すると考え,学業的成功が自分のアイデンティティを壊すと認知されている場合に積極的学習回避動機が発生し,課題コストが大きくなるという図式で理論的なまとめが行われた。 また,パーソナリティ発達から見た課題コスト概念の特徴としては,心理社会的発達の観点から,児童期(第IV段階)の心理社会的危機に由来する「労働麻痺」「勤勉性の拡散」および「選択の回避」という側面,知識の獲得が不安を招く場合を指す「知ることのおそれ」,そして原始的防衛機制として「補償努力」「価値剥奪」「脱価値化」が重なると考えられ,大学生を対象とした調査結果から,「知ることのおそれ」については成長への志向性に伴う適応的な不安としての解釈可能性も示された。 課題価値と課題コストの葛藤解決に向けては,自らの学習動機づけがどのような葛藤解決段階にあるのかを図式化したセルフチェック用のモデルを開発した。学習場面における瞬間的な興味や楽しさを指す感情的側面と,持続的な興味や関心および価値の内面化を指す認知的側面の2軸から,紆余曲折を経て葛藤に折り合いをつけるプロセスを視覚化することに重点を置いた。今後,自己決定理論との関係についてさらなる実証的研究として展開することが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)