Research Abstract |
本研究は,拡大化・多様化を続ける生活環境が児童期の子どもたちの発達に及ぼす影響について,そのロングスパンのプロセスやメカニズムを横断的・縦断的分析を用いて明らかにすることを目的としている.この目的に基づき,本年度は,計画1:生活環境と子どもの発達との関係を検討することを目的とした縦断データの子備的解析,計画2:児童期の子どもたちの生活環境と発達に関する質問紙による追跡調査の実施,の二点を実施計画とした. 計画1:縦断的データの予備的解析の実施:養育者は子どもの最も近位な生活環境と考えられる.その質は養育者自身の精神的・身体的健康状態や生活満足感などとして捉えることが可能であろう.そこで本年度は養育者自身の状態に注目し,その経時変化と子どもの結果変数との関係を検討し,そのうえで養育者の状態の潜在的な規定要因としての居住環境について,これまでに収集した縦断データを整理し,予備的な解析を実施した. 計画2:質問紙による追跡調査の実施(対象:小学校2年生の子どもを持つ家庭):追跡サンプルを対象に郵送による質問紙調査を実施し,約400家庭から回答を得た.当該調査により,養育者の精神的・身体的健康状態,養育態度,親子関係,養育者の環境設定力・調整力,家庭環境の混乱度,家庭内の教育環境,メディア環境,家庭の社会経済的状態,居住環境(住居・地域)の特徴,生活スケジュール,子どもの精神的・身体的健康状態,学習状況,学校外活動,学級内の混乱度など,多岐にわたるデータを収集した.本年度の調査の主たる意義・重要性として,児童期の子どもたちの生活環境の重要な構成要素である家庭環境と家庭外環境の双方について,多面的なデータを収集できたことが挙げられる.特に学習に関わる環境については,家庭の教育・文化的環境や学級環境などに関する情報を収集することができた.これらのデータの精査および分析が今後の課題である.
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