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2012 Fiscal Year Annual Research Report

「自分のことばによる説明」が学習理解を促進する過程

Research Project

Project/Area Number 22730507
Research InstitutionJoetsu University of Education

Principal Investigator

角谷 詩織  上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90345413)

Project Period (FY) 2010-04-01 – 2014-03-31
Keywords言語活動 / 作文 / 学校適応 / 理解
Research Abstract

H23年度1年生80名を対象とした予備的な調査を修正し,小学1年生の特に書き言葉による表現力がどのように発達し,また,学習されていくのかを検討した。H24年度小学1年生70名を対象に,作文の観点別評価,構造評価を行った。1学期に書かれた作文をすべて文字入力し,文字数をカウントした。各月を上旬と下旬に分け,各時期で最も文字数の多い作文を抽出し,全体的評価,流れ,感情表現,詳細記述の観点で評価を行った。構造評価として,ばらばら型,羅列型,前後型,時系列・順序型,包括型,深まり型の6つの型に分類した。分析の結果,1年生の5月に量的な増加が急激に生じ,その後,観点別評価得点が上昇する傾向がみられた。評価得点は, 4月時点から個人差が大きく,安定していた。
合わせて,1学期末に担任教師2名による児童評価を,好奇心探究心,主体性,自立性,自律性,伝え合う力,社会性,協同性,先を見通す力,集中性,学業面での適応の心配,学校生活面での適応の心配の観点から行った。教師による児童評価と作文の量的評価(文字数)との関連はみられなかったが,作文の全体評価とは,弱いながら正の相関がみられた時期もあった。
作文の全体評価と教師の児童評価との関連が見られる傾向にあり,作文の量と教師の児童評価との関連は安定していないことから,書き言葉による表現の質が,学校生活全般にかかわる適応上の問題とも関連している可能性が示唆された。一方,文字数は,教師による児童評価との関連が安定していなかったが,その増加が,質的な変化の前に生じる傾向がみられたことから,作文の量的な変化も,質的な変化のベースとなることが推測される。さらに,作文の観点別評価の個人差が安定していることから,1年生以前のことばにかかわる力や体験も,小学校以降の自分のことばでの表現力に影響を与えるのではないかと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

H23年度の小学校高学年の授業中の説明活動と,1年生の作文の分析をあわせることで,小学生における自分のことばによる表現のあり方と,学習との関連の位置側面を明らかにすることができた。また,日本心理学会第76回大会において,上越教育大学研究紀要第32巻,成果の一部を公表することができた。

Strategy for Future Research Activity

小学校高学年において,自分のことばによる説明活動が学習理解に関わる可能性が示唆された。また,小学校低学年(1年生)において,作文の質が,教師による児童評価と関連する可能性が示唆された。さらに,小学1年1学期において,すでに作文による表現のあり方に個人差が見られ,それが安定していることも示された。これらの結果から,小学校入学以前における言語活動の重要性が推測される。そこで,H25年度は,研究対象を幼稚園児に下げ,幼稚園の保育場面でどのような言語活動がなされているのか,遊びの中で,そのようにして,自分の気持ちや気づきをことばにあらわすようになるのかを,観察法を通して明らかにしたい。また,自分の気持ちや気づきにマッチしたことばを見つけ,使うことができた時,子どもはどのような反応を示すのかを捉えることを通して,子どもの言語表現力を培う保育者の関わり方について考察したい。さらに,小学1年生までに,どのような力をつけることで,小学校入学以降の豊かな言語表現,気づきの言語化ができるようになるのかを考察したい。大きな仮説として,以下の*点を設ける。(1)幼児が遊びの中で,自分の気持ちや気づきをことばで表現したくなるためには,そこに協同的に関わる他者が必要だろう。(2)自分のことばで表現したいがうまくできないとき,教師が適切なことばを見つけて使ってあげることにより,遊びが持続し,また,子どももそのことばを繰り返し使うようになるだろう。(3)名詞以外の語彙の獲得により,ことばで表現したいという気持ちが高まるだろう。それは,お帰りの集まりでのお話の仕方などに現れるだろう。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 小学1年生1学期の発達・適応を促進する幼児教育―上越教育大学附属幼稚園出身児童の特性に基づいて―2013

    • Author(s)
      角谷詩織
    • Journal Title

      上越教育大学研究紀要

      Volume: 32 Pages: 127-136

  • [Presentation] 小学1年生の教師評価における児童の相対年齢効果2013

    • Author(s)
      角谷詩織
    • Organizer
      日本教育心理学会
    • Place of Presentation
      法政大学
    • Year and Date
      20130817-20130819
  • [Presentation] 小学1年生1学期の作文の変化2012

    • Author(s)
      角谷詩織
    • Organizer
      日本心理学会
    • Place of Presentation
      専修大学
    • Year and Date
      20120911-20120913

URL: 

Published: 2014-07-24  

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