2010 Fiscal Year Annual Research Report
幼児を対象としたソーシャルスキル教育プログラムの開発と効果検証
Project/Area Number |
22730511
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
金山 元春 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (00457409)
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Keywords | 教育系心理学 / ソーシャルスキル / 幼児 |
Research Abstract |
社会性指導に関する文献・資料の展望や実践現場の訪問・見学の結果から、ソーシャルスキル教育プログラムの一種である「セカンドステップ」に注目した。本研究では、保育所年長児クラスにおいて、1年間、28レッスンにわたって実施されたセカンドステップの効果について検討した。セカンドステップは第1章「相互の理解1、第2章「問題の解決」、第3章「怒りの扱い」の3章28レッスンで構成された。本研究では、保育者評定尺度によって、セカンドステップに参加した幼児のソーシャルスキル(主張スキル、協調スキル、自己統制スキルの3下位尺度)と問題行動(外在化問題行動、内在化問題行動の2下位尺度)に関する数量的データを、レッスン開始前(X年4月)、第2章終了時点(X年12月)、全レッスン終了時点(X+1年3月)の3時点にわたって縦断的に収集した。3時点にわたる評定結果がすべてそろう幼児14名(男児6名・女児8名)のデータを分析対象とし、各下位尺度得点を従属変数とした2(性:男・女)×3(時期:4月・12月・3月)の2要因分散分析を行った。その結果、いずれの下位尺度得点にも有意な性の主効果はなかった。一万、すべての下位尺度得点で有意な時期の主効果があった。セカンドステップが2章を経過した時点(12月)で、レッスン前(4月)よりも、対象児のソーシャルスキル得点は有意に上昇し、問題行動得点は有意に低下していた。さらに全レッスンが終了した年度末(3月)までこの水準は維持されていた。なお、性と時期の交互作用はいずれも有意でなかった。以上から、幼児のソーシャルスキルの向上と問題行動の低減に及ぼすソーシャルスキル教育プログラムの効果が示唆された。
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