2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼児を対象としたソーシャルスキル教育プログラムの開発と効果検証
Project/Area Number |
22730511
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
金山 元春 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 准教授 (00457409)
|
Keywords | 教育系心理学 / ソーシャルスキル / 幼児 |
Research Abstract |
幼児を対象としたソーシャルスキル教育(social skills education,以下SSEと略す)プログラムの開発に資する実践的資料の収集をはかり,社会性指導に関する文献・資料を展望し,実践現場の訪問・見学を重ねた結果から,昨年度は,SSEの一種である「セカンドステップ」に着目し,保育者と検討しながら日本の保育現場になじむプログラムとして実践した結果,幼児のソーシャルスキルの向上と問題行動の低減に及ぼす効果を見出すことができた。今年度は,さらなる展開を期してアサーション・トレーニング(assertion training,以下ATと略す)を幼児に適用する可能性について検討したが,その前に従来のATにみられる次のような課題を克服しておく必要があると考えられた。その課題とは,従来のATが「自己表明」に偏り,「他者配慮」の視点が抜け落ちている点であった。また,従来のATでは,アサーティブ,攻撃的,非主張的と類型化した人物を児童に示しつつ,アサーションの概念を教示するという展開が少なくないが,これが集団内に特定の個人に対するラベリングともいえる評価を生じさせるおそれがある点も課題として考えられた。そこで,今年度はこうした実践上の課題の克服を目指した新たなATのあり方を学校現場の教師とともに模索しつつ,幼児に比べて先行研究が豊富で研究結果の比較検討が可能な小学生を対象としてATを実践し,その効果について検証した。その結果,本研究で実践したプログラムが,従来のATとは異なる展開を含みつつも児童のアサーティブな態度を育んだことが示唆された。今後は新たに開発されたATプログラムの幼児への適用を実際に試みる研究が必要である。
|