2012 Fiscal Year Annual Research Report
学生の生涯発達の基盤となるアカデミックライティングと大学での知識生産への参画
Project/Area Number |
22730514
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西垣 順子 大阪市立大学, 大学教育研究センター, 准教授 (80345769)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | アカデミックライティング / 生涯発達 / 知識生産 / 学士課程教育 / 大学生 |
Research Abstract |
本年度は主に、①知識生産者としての学生の役割を重視した授業実践とアカデミックライティング指導法の開発についての成果を取りまとめること、②授業を通じた学生の世界観の変容の履歴を明らかにするため、実験授業の実施とデータの収集を行うこと、③大学生の学修を生涯発達プロセスに位置付けて理解する理論的な枠組みの構築を進めることの計画を立てていた。 ①については、指導法開発の経緯と成果を取りまとめた論文が掲載された。ロンドン大学教育研究所で実践されている最先端のアカデミックライティング指導を日本の学士課程学生向けにアレンジした教授法を開発し、その効果の検証を行った。学生の学修に関する新しい認識を形成するという効果は一定程度見られ、アカデミックライティング実践にも指導直後の効果は見られたものの、セメスター末に適切なレポート執筆行動がみられるかどうかという観点からの成果は限定的なものであった。 ②については、授業でのデータ収集を進めるとともに、研究の途中経過を学会で発表した。「世界観」がどのように作られるかを学生に理解させるため、人文・社会科学分野における各思想を構築した人物の生い立ちと時代背景、思想の内容を比較対照するという形での授業実践を行った。現在は収集したデータを分析しているところである。 ③についても論文として取りまとめ、1月に投稿した。「可逆操作の高次化における階層段階理論」から大学生の学修と発達がどのように説明されうるか、大学教育はどのように評価される必要があるか等について議論を展開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アカデミックライティングを通じた知識生産への学生の参画という観点からのアカデミックライティング指導法を開発し、その成果が論文として掲載された。また生涯発達における大学学修の位置づけと評価のあり方についても検討を進め、学会発表や論文の投稿を行ったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
アカデミックライティングを中心に大学生の学修が青年期の発達として学生の生涯発達をどのように実現するかについて引き続き検討を行う。具体的には、「世界観の構築と再構築を促す授業」の実践を通じて収集したデータの分析を行うとともに、大学生の学修と発達の関連という観点から大学教育をどのように評価しうるかといった事柄についての理論的な検討を取りまとめる。
|
Research Products
(2 results)